自動車メーカー中国最大手の上海汽車集団(SAIC)は、ロシア、オーストラリア、南米、中東に販売子会社を設立する方針だ。4月4日に中国のメディアが同社の谷峰・最高財務責任者(CFO)の話として報じた。
1937年に上海に設立された「中国汽車製造公司」を起源とする同社は、58年に中国初のセダン乗用車「鳳凰」の試作に成功。「鳳凰」は64年に上海・SH760と改名された。
70年代にドイツのフォルクスワーゲン(VW)社の技術導入を決定し、85年に合弁会社「上海大衆汽車」(上海VW)を設立。一方、97年には米国のゼネラルモーター(GM)との合弁会社「上海通用汽車」(上海GM)を設立、ビュイックやシボレーの生産販売を開始した。このように、同社は外資系ブランドの合弁生産・販売で発展してきた。
販売台数でも上海VW、上海GMの比重が高い。4月3日に同社が発表した経営報告によると、2014年の自動車販売台数は、前年比10.1%増の562万台に達した。このうち、上海VWは前年比13%増の173万台、上海GMは12%増の176万台に販売台数を伸ばした。GMとの合弁で小型商用車を生産する「上汽通用五菱汽車」の販売台数は13%増の180万台に拡大。この結果、純利益は12.8%増の279億7000万元に拡大した。そして、15年の販売台数は620万台を目標としている。
東南アジアでは、昨年6月、上海汽車とタイ有力財閥CPグループの合弁会社、SAICモーターCPがタイで自動車生産を開始している。「上汽通用五菱汽車」はインドネシアで「五菱」ブランド車を製造・販売する計画で、年内にもジャカルタ近郊に新工場を着工するという。
こうした東南アジアへの進出に加え、ロシア、オーストラリアなどへの販社設立で、同社の世界的なプレゼンスも拡大しそうだ。(編集担当:久保田雄城)