アマゾンが米国で音声認識スピーカー「Echo(エコー)」関連事業を強化している。4月8日には、エコーに照明や家電を遠隔操作できる機能を付け加えたと発表した。
エコーの新機能は、米ベルキンの電源器具、オランダの電機大手フィリップスのLED照明機器に対応する。いずれもWi-Fi対応の機器だ。
アマゾンは、昨年11月にエコーを米国で発売した。価格は199ドルで、「Amazon Prime」(米国)会員は期間限定で99ドル。エコーは高さ23.5cm、直径8.3cmの円筒形の端末で、Wi-Fiでインターネットにつながる。本体には2つのスピーカーと7つのマイクが内蔵されていて、音声による質問や命令に反応する。例えば「ジャズを再生して」と命令すれば、それに反応してアマゾンの音楽配信サービスなどから音楽が再生される。こうした音楽再生のほか、ラジオ局のニュース、天気予報、各種情報再生、アラーム、タイマー、Wikipediaの情報検索などの機能がある。
今回の新機能によって、音声命令だけで、対応した照明や家電のオン/オフができるようになった。
音声認識分野では、各社が激しく競い合ってきた。アップルは「Siri(シリ)」、グーグルは「Now(ナウ)」、マイクロソフトは「Cortana(コルタナ)」の開発に取り組んで来た。そして、家電を遠隔制御するスマート・ホーム構想でも、音声認識を利用しつつ、アップルが「HomeKit(ホームキット)」を発表している。グーグルもまた、ホームエレクトロニクス企業のNest Labs(ネストラボ)を買収し、この分野の開発を進めているとされる。
これらの動きに対抗して、アマゾンは13年に音声認識ソフトメーカーのイボーナ・ソフトウェアを買収し、昨年エコーの発表にこぎつけた。アマゾンはこの4月には「ダッシュボタン(Dash Button)」という小型の注文用端末を発表している。
商品の注文とスマート・ホームとを連動させるというアマゾンの構想が、少しずつ姿を現しつつある。(編集担当:久保田雄城)