政府は成長戦略の柱として「女性の活躍推進」を掲げるが、いまだに家事の多くを女性が担う中、「仕事と家庭の両立」はハードルが高い。転職サイトを運営するマイナビが、転職意向のある全国20~39歳の正社員女性を対象にウェブアンケートを行なったところ、独身女性の約4割は“出産”を転機と考え、正社員以外の働き方、または退職を希望していることが分かった(「女性の働き方に関する調査」)。
独身で子供がいない女性に「結婚後のキャリアビジョン」を聞いたところ、“結婚”を機に働き方を変えよう(または働くことをやめよう)と考えている女性はわずか9.7%だった。一方で、“出産”を機に働き方を変えよう(または働くことをやめよう)と考えている女性は37.6%と、約4割に達している。中でも「結婚後は出産するまで、正社員で働き続けたい」が29.4%と最も多く、「出産後は正社員以外で働き続けたい」6.1%、「出産後は仕事を続けるつもりがない」2.1%などと合わせて、出産を機に「働き方を変えたい」との意見が目立つ。働く独身女性は、出産を経験していなくても、周囲の既婚者が「育児と仕事の両立」に苦労する姿を見聞きしている。そうした積み重ねが、出産とその後のキャリアビジョンを見直すきっかけとなっているようだ。
「現在の職場で長く働けない」と思った理由を聞いたところ、「給与が上がらないため・少ないため」が49.8%(独身女性:50.1%、既婚女性:49.6%)と最も高かった。次いで「仕事と家庭を両立できる制度・環境がない」(全体20.6%)だが、こちらは独身女性の15.5%に対し、既婚女性は実に34.4%と2倍以上にのぼる。「通勤時間が長いため」(全体10.6%)と回答した割合も、既婚女性は15.2%と、こちらも独身女性(8.7%)の2倍近い。既婚女性はより「ワークライフバランス」を重視し、ライフスタイルを改善したいとの理由から「転職」を考える傾向にある。独身時代は仕事中心でも、結婚した結果、子供の有無にかかわらず家事をこなす時間が増え、「将来、出産したらこのままの働き方は続けられない」と考える女性が多いのかもしれない。男性を含めた働き方の変革がなされない限り、「出産」が女性にとって大きなハードルとなる現状は変わらないだろう。(編集担当:北条かや)