ベネッセ、情報流出の影響で上場以来初の赤字

2015年05月07日 08:17

 4000万人分もの個人情報を流出させてしまったツケは、あまりにも大きかったということなのだろう。1日、ベネッセホールディングス(HD)<9783>が2015年3月期の連結決算を発表。それによれば純利益は前期の199億円の黒字から一転して107億円の赤字であり、1995年に株式上場して以来、初めての赤字となったことがわかった。

 赤字に転落した背景には、当然14年7月に発覚した会員の個人情報流出問題の影響がある。この問題により顧客離れが進行しただけでなく、情報が流出した顧客へのお詫び対応などで計306億円の特別損失を計上したこと、さらには問題発覚を受けて、ベネッセホールディングスは一時ダイレクトメールやイベントなどを通じた新規会員の営業活動を見合わせていたことの影響などにより、上場以来初の赤字決算となった。

 特に顧客離れが深刻だ。ベネッセホールディングスは発表した決算の中で、15年4月の時点での主力の通信教育サービスである「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」の会員数が、前年同期比約25%ダウンの271万人にまで減ったことを明らかにしている。そのうち小学生で約19%、中学生・高校生で25%以上ダウンしたとのこと。

 売上高は前年同期比0.7%ダウンの4632億6400万円で、「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」会員数の減少が影響した。営業利益は前年同期比18.4%ダウンの292億2700万円で、経常利益は前年同期比23.8%ダウンの268億3800万円であった。「進研ゼミ」におけるタブレット教材導入などによるコスト増が影響した。セグメント別に見てみると、海外事業が好調に推移。売上高は前年同期比17.9%アップの210億600万円で、営業利益は前期が6億9800万円の赤字であったのに対して、13億6700万円の黒字であった。中国での海外通信教育講座の会員数の増加、円安などが影響し業績を大きく伸ばすこととなった。

 そしてベネッセホールディングスは同日、16年3月期の業績予想も発表。それによれば、売上高を前年同期比0.9%ダウンの4592億円、営業利益を前年同期比53.8%ダウンの135億円、純利益を38億円と見込んでいる。こうしてベネッセホールディングスが再び黒字に転じるためには、国内における顧客の「信頼感」を取り戻すこと、これこそが最も重要な課題だろう。(編集担当:滝川幸平)