少子化に向け教育業界も新サービスが次々とお目見え

2015年03月30日 12:37

 少子化問題は教育業にも深刻な波紋を及ぼしている。だがそんな中、教育業界の名門が画期的なサービス形態に挑んでいる。一方、他業種大手が自社の知識やノウハウを生かし、新たな観点から教育業に進出するケースも目立つ。

 ベネッセコーポレーション<9783>では、プリペイドカードを用いたオンライン学習サービス「BenePa(ベネパ)」を2月より開始した。プリペイドカードはローソン<2651>店舗で購入でき、記載されているコードを公式サイトで登録すればすぐに利用できる。500円と1000円の2種があるが、500円でも教材は非常に充実しており、ワンコインから得られる満足度も高いようだ。内容としては、遊びメインの幼児向けのものから、学校科目(算数、数学と英語)の苦手を補う小・中・高校生向けのものまである。上質な情報をコピーで数多く発信できるオンラインでのサービス提供は、教育分野に限らず、販売者、購入者ともにコストパフォーマンスが高く、今後の主要な情報ビジネスの形としてますます定着するだろう。また、語学教室で著名なイーオンは、3月に学校教育課を新設。長年の英会話指導の経験を生かし、高校や大学などに直接進出、外国語授業を実地にサポートしていく予定だ。

 異業種からの挑戦にも目を見張る。三越伊勢丹HD<3099>は、未就学児童を対象に「cocoiku(ココイク)」という教育サービスを開始する。これは「世界に通用する大人になる」を基本コンセプトに、幼保や学校教育とは違い、五感を養って創造力やセンスを磨き、情報のインプットとアウトプットの力を伸ばして、個人の人間力の力強い発信を社会貢献へ繋げることを目指しているようだ。カリキュラムも、ゲームプログラミングや電子工作、ダンスや創作、虫や植物の視点を学ぶなど、オリジナリティ溢れる内容が多い。また、昨年12月に設立されたソニー・グローバルエデュケーション<6758>は、今、世界的に注目されるオンライン教育サービスを日本からグローバルに発信していく構えだ。特に日本の小学校の“算数”は、高度な論理的思考力を要しレベルが高い。ソニーコンピュータサイエンス等が開発してきた算数関連のアプリも生かし、日本の算数を世界に売り出す展望も見えている。

 従来の学校教育の枠組みに入らない教育システムや学びのコンセプトが、今、切に求められている。少子化という危機を迎えながらも、時代の転換点から新たに飛躍する。現在の教育分野は、リスクとチャンスを同時にはらんだ大きな過渡期にあると言えるだろう。(編集担当:久保田雄城)