積水ハウスの環境住宅として歴史を刻んだ3棟、「サステナブル デザイン ラボラトリー(風の家)」、「ゼロエミッションハウス(あしたの家)」。そして2010年に横浜APECで公開した「観環居(木の家)」を公開する「積水ハウス エコ・ファースト パーク」
「1999年に“環境未来計画”を当社・積水ハウスは業界に先駆けて発表した。当時はマスコミの方々にも“住宅会社が何を?”という反応だった」と積水ハウスの代表取締役会長兼CEOの和田勇氏が当時を振り返った。
同社がこの“環境未来計画”を発表したのは、世界初のハイブリッドカー「トヨタ・プリウス」がデビューして2年後である。「住宅産業はこの程度の認識のされ方だった」とも和田氏は述懐する。
2015年5月19日、積水ハウスが埼玉県・古河市の関東工場敷地内に「積水ハウス エコ・ファースト パーク」を開所した、積水ハウス記者会見の会場で和田勇会長は続ける。「住宅産業はかねてより(持ち前の職人のスキルが主体の)“ローテク産業の代表格”とされてきたが、いまや環境対応機能が集結した“超ハイテク産業”に変わった。環境性能は大きく画期的に進化している」という。
積水ハウスは住宅のリーディングカンパニーとして、業界に先駆け環境配慮の取組みを推進してきた。1999年の「環境未来計画」の発表に続き、2005年の「サステナブル宣言」、そして2006年の東京・国立市における実証実験住宅「サステナブル デザイン ラボラトリー」、2008年に洞爺湖サミット会場に建設した「ゼロエミッションハウス」など。これら実績から、積水ハウスは2008年6月に環境省から住宅・建設業界で初めて「エコ・ファースト企業」として認定を受け、その後、着実に歩みを進めた。そして2010年には横浜APECで公開した「観環居」を建設した。これらの3棟を移築し、「積水ハウス エコ・ファースト パーク」として公開。開所を記念した植樹式・メダカの放流式が、生物多様性の広報、教育、普及啓発を推進する、環境省、農林水産省、国土交通省が参加を呼びかけている「グリーン ウェイブ活動」の一環として実施された。
「エコ・ファースト企業」とは、環境省が創設した「エコ・ファースト制度」のもとで地球温暖化対策、廃棄物適正処理、リサイクル対策など、対環境保全策などの取り組みについて、“業界のトップランナー”として環境大臣に認定された企業のことである。
積水ハウスは「エコ・ファーストの約束」として「家庭部門及び事業活動に伴うCO2排出量削減の積極的推進」「生態系ネットワーク復活の積極的推進」「資源循環の徹底的推進」の3つを掲げ、事業を通じて実践してきた。
まず、住宅会社として“家庭部門及び事業活動に伴うCO2排出量削減を積極的に推進”する。第2に、“生態系ネットワークの復活を積極的に推進”することを掲げ、第3に住宅建設企業として生産・施工・アフターメンテナンス・リフォーム時のゼロエミッション(埋め立てゼロ、熱回収を伴わない焼却ゼロ)を継続し、マテリアルリサイクル率90%を目指し“資源循環の取り組みを徹底的に推進”するとしている。
積水ハウスが関東工場に住宅建設企業として開設した「エコ・ファースト パーク」は、同社の環境住宅として歴史を刻んだ前述3棟、実証実験住宅「サステナブル デザイン ラボラトリー(風の家)」、「ゼロエミッションハウス(あしたの家)」。そして2010年に横浜APECで公開した「観環居(木の家)」を公開するテーマパークと言えそうだ。
あわせて、この3棟が並ぶ敷地には、積水ハウスが環境保全のために2001年から取り組んできた生態系保全を掲げた「5本の樹」計画に基づいた庭「生きものの庭」が造られた。
同時に住宅解体ならびに新建設に伴って排出された廃材・資源を「人的作業の手作業による分別・リサイクルする事業」も「積水ハウス エコ・ファースト パーク」として積極的に行ない、公開する。
同施設では学生や親子を対象とした参加型公開社会教育プログラムを推進するため、有識者とともに「積水ハウス エコ・ファースト パーク運営協議会」(会長:山中 敏正 筑波大学芸術系長 教授)を設立し、共に継続発展を目指すという。会見で山中教授は「この施設では環境に関する様々な可能性を見出すことが出来る。次世代を担う学生、子どもたちが環境に対する意識を高めるばになってほしい」と期待を寄せた。また、同社は「住まいと環境に関心を持つ、子どもから大人までの幅広い層が学べる場として、社会に広く公開し、将来を担う次世代育成に注力したい。教育機関、NPO、市民団体等多様な方々と協働し、社会のお役に立てる施設を目指す。」としている。
現地、「積水ハウス・エコ・ファースト パーク」の一般公開は6月からの予定。(編集担当:吉田恒)