こんどは地熱発電ラッシュか 相次ぐ発電所建設

2015年05月29日 07:35

 メガソーラー建設や稼働開始のニュースが相次いでいるが、今度は地熱発電が同じような様相を呈してきた。地熱発電は、再生可能エネルギーである地中の蒸気・熱水を利用して発電。ベース電源として、安定的に電力を供給することが可能で、太陽光発電に続き注目されている。

 まず、富士電機<6504>は26日、出光大分地熱より、滝上バイナリー発電所向け5,000kW級地熱バイナリー発電設備を受注したと発表した。

 同社は出光大分地熱との間で、発電設備全体の設計、調達、製作、建設を一括請負した。滝上バイナリー発電所は出光大分地熱の敷地内に設置され、九州電力<9508>滝上(地熱)発電所(発電容量:2万7,500kW)に供給している蒸気に付随して噴出する熱水を活用して発電する。発電容量は5,050kWで、2017年3月の稼働予定。

 富士電機は、1960年以来、国内外で71台、2,787MWの地熱蒸気タービン発電設備を納入しており、2004年~2013年の10年間の納入実績は21台、1,068MWで世界シェア1位(40%)だという。
 
 また、大林組<1802>、東日本旅客鉄道<9020>、川崎重工業<7012>の3社は25日に、青森県青森市八甲田北西地域において、地質構造把握のための調査坑井を1本掘削することとしたと発表した。この3社は独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)による地熱資源開発調査事業費助成金交付事業の採択を受け、地熱資源開発調査を進めている。今回、2014年度までに実施した地表からの調査の結果に基づき、掘削にいたったもの。

 掘削する八甲田北西地域 調査坑井(こうせい)「東西性矢別(やべつ)断層1号井」は、青森県青森市大字荒川の国有林内を掘削場所とし、作業期間は2015年6月上旬~10月下旬の予定。

 さらに、電源開発<9513>、三菱マテリアル<5711>社および三菱ガス化学の共同出資による湯沢地熱株は25日、「山葵沢地熱発電所」の環境影響評価手続きが2014年10月31日に完了し、今回建設工事を開始した。

 同発電所は、純国産の地熱資源を利用することにより、出力4万2,000kWの発電を行うもの。「山葵沢地熱発電所」は、2019年5月に雲梯開始する予定。

 これまで地熱はコスト(掘削にかかる費用や期間が長い)および、掘ってみないとどうなるかわからないというリスクが大きいことから、民間ともにあまり重視していなかった感がある。このため、今のところ再生可能エネルギーの最右翼は太陽光と目されている。しかし、火山国である日本は地熱資源が豊富にあるのだ。これを活用しない手はない。最近になって、地熱発電にもようやく本腰を入れ始めたというとところか。(編集担当:慶尾六郎)