6月6日は補聴器の日。人口の10%以上が潜在ユーザーといわれる補聴器の今

2015年06月06日 19:02

 6月6日は「補聴器の日」。でも、どうしてこの日なのだろう。「補聴器の日」を制定した日本補聴器販売店協会と日本補聴器工業会によると、実はいくつかの理由があるようだ。まず、「6」という数字が、耳の外に張り出している部分「耳介」の形を連想させ、ひいてはその形が補聴器に似ているため。そして、3月3日が耳の日であることから、耳に補聴器を装用すると、耳(3月3日)にさらに補聴器というもう一つの耳をつけることから3月3日×2=6月6日となったらしい。「○○の日」は枚挙にいとまがないが、それでも由来を聞くと納得でき、なかなか興味深く考えさせられる。

 補聴器は言うまでもなく耳の聞こえを補助するものだが、その用途や目的などに合わせて、いろいろな形状があることはあまり知られていない。一般的に認知されている補聴器は「耳あな形」と呼ばれる耳あなに収まるタイプではないだろうか。これは耳あなの形状やきこえの程度にあわせてオーダーメイドするのが主流で、耳の奥深くに入れて装用する超小型CICタイプから、耳あな全体を使用したフルシェルタイプまで様々だ。老化による聴覚の衰えをあまり知られたくない人などにはCICタイプがとくに人気が高く、最新のものになるとコーヒー豆一粒程度のサイズでクリアな集音が可能な機種も販売されている。

 他にも、操作が簡単で扱いやすい「耳かけ形」や、本体をポケットに入れてイヤホンとコードをつないで使用する「ポケット形」、メガネのツルの部分に補聴器を内蔵させ、振動で皮膚から音を伝える骨導式の「メガネ形」、特殊な用途で使う「特殊補聴器」など、大きく分けて5種類の補聴器がある。

 日本補聴器工業会が発表している調査資料によると、2013年度の補聴器の出荷台数は約53万台。2012年度あたりから、徐々にだが増加傾向にあるという。その背景には高齢化社会があるのは語るまでもないだろう。現在、日本では人口の約15%にあたる約2000万人もの人が難聴者と推定されているが、実際に補聴器を使用している人は339万人程度とみられている。つまり、難聴者5人のうち、補聴器を使用しているのは1人以下しかいない計算だ。別の見方をすれば、人口の10%以上が潜在ユーザーとも考えられるので、今後、高齢化社会の進展とともに補聴器の使用に対する抵抗が少なくなっていけば、巨大市場に発展する可能性も秘めている。

 また、最近では難聴だけでなく「耳鳴り」を和らげるための補聴器も登場している。耳鳴りは10人に1人が経験しているといわれ、難聴者の50~70%が耳鳴りの悩みを併発しているといわれている。ところが残念ながら、現代医学では耳鳴りを除去する確実な治療法は確立されていない。そこで考えられた方法のひとつが、補聴器からわざとノイズを出して耳鳴りを打ち消し、気にしないようにするというものだ。

 とはいえ、できることなら補聴器を使わずに自分の耳だけで生活したいというのは誰しもが望むことだろう。しかし、目や歯などはともかく耳となると、どのようにケアすれば良いのだろうか。耳鳴りの治療法としては補聴器の他に、心理療法、音響療法、TRT療法、薬物療法などがあるが、近年注目されているのが「蜂の子」による耳鳴り改善だ。

 ミツバチ産品の製造販売で知られる株式会社山田養蜂場が、岐阜大学医学部附属病院・医療情報部の青木光広准教授と行った共同研究によると、同社の酵素分解「蜂の子」が耳鳴りの自覚症状を軽減させることが明らかになったという。

 実験では、軽度の耳鳴りを自覚する健康な男女60名を2グループに分け、一方のグループに酵素分解「蜂の子」粉末を12週間かけて飲用させた後、耳鳴りの感じ方を評価する耳鳴りVAS(Visual Analog Scale)、疲労感を測るCFSなどの主観的評価をプラセボ対照ランダム化二重盲検試験にて調べたところ、酵素分解「蜂の子」の継続飲用によって、耳鳴りの主観的な感じ方を和らげ、疲労感を軽減させる傾向にあることが分かった。

 耳鳴りは集中力の低下や不眠、不安感などを引き起こす。ひどい場合は、精神的なストレスから体調や精神状態を崩したり、生活の質を著しく低下させてしまうこともあるだろう。しかし、多くの人がどうしていいのか分からず、軽度の場合はとくに放置しているのが現状ではないだろうか。補聴器の日をきっかけに、大切な耳のケアについて考えてみるのも良い機会かもしれない。(編集担当:石井絢子)