まつエク被害、一向に減らず「リスクの説明受けなかった」4割以上

2015年06月14日 17:52

画・ひとりぼっち、仕事なし……。増える「女性SNEP」という人びと

「まつエク」は美容行為であり、施術には美容師免許が必要。免許を持たない人が施術し、接着剤が目に入るなどしてトラブルが生じるケースが増えている

 10年以上前から、一部の女性たちの間で流行している「まつ毛エクステンション(まつエク)」。まつ毛の根元から、数ミリ離した部分にグルー(接着剤)をつけ、人工のまつ毛を装着する美容行為だ。人工まつ毛の本数は、片目30本程度から、100本以上装着して華やかさを演出することもできる。元々のまつ毛が増えたように見え、「つけまつげやビューラー、マスカラなどの化粧に時間を割かなくても良い」と人気だ。

 一方「まつエク」は美容行為であり、施術には美容師免許が必要。免許を持たない人が施術し、接着剤が目に入るなどしてトラブルが生じるケースが増えている。国民生活センターには、まつ毛エクステンションの施術を受けて目が痛くなったなどの「危害情報」が、2010年度以降の5年間で599件も寄せられており、毎年100件以上で推移している。警察庁の調査では、まつエクにかかわる「美容師法違反」の検挙事件数が、2013年に大きく増加。まつエクの危害は元々多かったはずだが、国民生活センターがその深刻さを公表したことで、検挙件数も大きく増えた可能性がある。

 被害の大きさを受け、国民生活センターでは過去1年間に「まつエク」の施術を受けたことのある10~50代の女性1000人に対し、アンケートを行った。その結果、7割近くの女性が1回だけでなく複数回、まつ毛エクステンションの施術を受けていた。7割以上は「まつエクの施術に美容師免許が必要であること」を知っていたが、サロンを選ぶ際、「施術者が美容師であること」を重視している人は約2割にとどまった。「施術者が美容師免許を持っていなかった」と回答した人も約6%おり、半数近くは「施術者が美容師免許を持っているかどうか」確認していなかった。健康被害などのリスクについては、5割あまりが「説明を受けて十分理解」していたが、「体に異変や違和感があった場合、医療機関を受診するように」と説明された人は約4割と少ない。サロンは玉石混交である。

 さらに4分の1の女性が、「まつエクの施術を受けて異変や違和感を経験した」と回答。被害者の年代は20代が38.2%、30代が35.7%と若年層が目立つが、40代も17.2%に達した。「目の痛み、異物感」「目、まぶたのかゆみ」「目の充血」などの事例が目立つ。危害程度は「治療1週間未満」が31.4%、「医者にはかからなかった」が35.2%だったが、「1カ月以上」かかるケースも4%あった。調査した国民生活センターでは、消費者に対し「目やその周辺に異常を感じた場合、直ちに医療機関を受診するように」とアドバイスしている。(編集担当:北条かや)