インターネット通販大手・楽天<4755>は11月13日から、楽天市場に出店する通販サイトすべてに対し、消費者が利用する振り込み先銀行を楽天銀行のみに一本化していく方針を打ち出した。消費者が商品代金を楽天銀行に振り込み、後日、楽天銀行が各通販サイトの指定口座へ代金を振り込むという2段階制度を導入する。
こうした異例の方針を打ち出したのには理由がある。背景にあるのはネット通販詐欺だ。実店舗と消費者が直接対面してやりとりをするわけではないネット通販では「請求額を振り込んだのに商品が送られてこない」「届いた商品が偽物だった」などのトラブルが絶えない。国民生活センターの調べによると、ネット通販の相談件数は年々増加しており、2009年で13万1,654件、10年15万5,948件、11年17万8,148件、12年17万5,242件、13年20万3,219件となっている。さらに14年では10月31日までに12万7,086件が寄せられており、前年同期9万5,456件を上回る勢いで増えている。
トラブル回避には、通販サイトに書かれてある日本語におかしな表現がないか、メールアドレスだけでなく住所や電話番号まで記載されているかを確認し、決済を先に済ませるのではなく商品を確認してから支払うことができる「代引き」を利用することが勧められている。しかしいずれも消費者側への注意喚起にとどまり、対策としては不十分だ。
増え続けるネット通販詐欺被害を抑えるためには、運営サイト側の努力が不可欠だろう。11月29日にオープンしたハイブランド専門の通販サイト「ブラモ」では、詐欺トラブル防止対策を全面に掲げている。ネットショッピングの安全性向上や偽造品の流通防止を目的に、サイト出店社は日本流通自主管理協会(AACD)の会員企業が中心となる。消費者への保障としては、販売された商品が偽物だと判明した場合、全額返金で対応するとしている。こうした運営サイト側によるネット通販の環境整備が引き続き望まれる。(編集担当:久保田雄城)