東芝<6502>の不適切会計問題で、また新たに12件の不適切会計が見つかった。新たに見つかった12件は広告費などの販売管理費を先送りし費用に計上していたり、材料費を過少に原価計上していた案件で、不適切な会計が行われていた期間は2010年3月期からの5年間で、修正が必要な額は約36億円とみられており、これまで発表していたインフラ関連の修正と合わせると、減額修正額は合計で548億円程度になる見込みだ。
12日、東芝は本社と子会社に対して自主的な調査を行った結果、10年3月期から14年3月期までの5年間に、新たに12件の不適切会計処理が見つかったと発表。広告費や在庫の費用・損失計上などで不適切な処理があり、営業利益が約36億円かさ上げされていたことが判明した。また東芝は、すでに発表しているインフラ関連の不適切会計の詳細も公表。これで東芝の不適切会計による減額修正額は、合わせて548億円になった。
今回新たに見つかった12件の不適切会計は、本社と子会社が自主的に調査した結果、判明したもの。東芝の不適切会計については弁護士らで構成される第三者委員会を設置しており、5月15日より調査を開始している。7月中旬をめどに調査結果をまとめるとしている。しかし今回の案件については過年度決算への影響が限定的であるとの理由から、第三者委員会に調査を委嘱しないとのこと。
新たに判明した12件の事業分野別の内訳は、電力システムで3件、送配電設備などの社会インフラシステムで1件、ビル管理などのコミュニティ・ソリューションで1件、ヘルスケアで1件、部品材料事業統括部で1件、家電などの東芝ライフスタイルで3件、ネットワーク関連などのインダストリアルICTソリューションで2件となっている。
併せて東芝は、すでに発表しているインフラ関連の不適切会計の詳細も公表し、それによれば、9件の問題による11年3月期から14年3月期までの減額修正額は512億円になるとのこと。そのうち特に額が大きかったのが、次世代電力計「スマートメーター」用の通信システムの開発設置案件で、額は255億円と全体の約半分を占めている。
今回新たに見つかった12件は、これと比べると額こそは小さいものの、不適切な処理であることには変わりがない。しかしまだ調査は継続中であり、問題の全容が明らかにされたわけではない。今後、減額修正額がさらに拡大する可能性は十分にある。(編集担当:滝川幸平)