サラリーマンなどの会社員が給与からの天引きにより保険料を納める厚生年金に対して、自営業者や非正規労働者などの加入者が日本年金機構に払い込む国民年金だが、その国民年金の保険料の納付率が厚生労働省によって発表された。それによれば2014年度末の納付率は63.1%であり、前年度比で2.2ポイント増加した。
14年度末時点での対象者(第1号被保険者)は1742万人で、納付率は3年連続で前年度を上回った。厚生労働省は、悪質な保険料未納者への督促の強化、また景気が回復傾向にあることなどが今回の結果につながったのではないかとの見方を示している。
国民年金の納付率は、加入者が保険料(今年度は月1万5590円)を納めるべき月数に対し、実際に納付があった月数の割合から算出している。そして対象となるのは自営業者や非正規労働者、また無職の人などで、14年度末は前年度末よりも63万人少ない1742万人であった。
国民年金の納付率を年代別に見てみると、20~24歳までが前年度よりも3ポイント以上増えて59.3%、25~29歳までも前年度よりも3ポイント以上増えて53%となっており、若い世代で納付率が改善していることがうかがえる。これは景気が回復傾向にあることや、その影響により非正規労働者や無職の人などの未納者が正社員となり、厚生年金に移って未納者が減少したことなどが寄与したものとみられている。さらに厚生労働省は、昨年度から所得が400万円以上で、13ヶ月以上保険料を滞納している人を対象に、財産の差し押さえを警告する特別催告状を前年度比421万件アップの989万件発送しており、これが一定以上の効果をあげたことも納付率改善につながったとみられている。ただし将来の年金財政は納付率80%が前提となっており、厚生労働省としては今後も督促を強化していく考えだ。
しかし、その一方で日本年金機構は、年金情報の流出問題により年金制度への不信感が広がっていることから、それが納付率の低下につながらないよう二次被害の防止策を徹底し、信頼回復に努めるとしている。(編集担当:滝川幸平)