山谷えり子国家公安委員長、拉致問題担当、海洋政策・領土問題担当大臣は29日の衆院安保特別委員会で、民主党の緒方林太郎議員に、さきの大戦は侵略戦争と考えるかと質され「答弁は控えさせて頂きたいと思います」と答弁しなかった。
答弁を避ける理由が分からないため、浜田靖一委員長が再度答弁するよう指名すると「海洋担当大臣としては回答を控えさせていただきたいという意味だった」とし「安倍内閣として、村山談話を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる。今後とも引き継いでいく」と官僚が用意したかのような文言で答弁した。
緒方議員が「先の大戦は侵略戦争と思うか」と重ねて尋ねると「戦後、我が国は、先の大戦の深い反省の上に、自由で民主的で人権を守り、法の支配を尊ぶ国家をつくりあげ、アジアや世界の平和と安定のために大いに貢献してきている。このことは国際社会から高い評価を得ている。平和国家としての歩みを今後とも続けていきたいと思う」とし「歴史は歴史家や専門家に委ねるべきと考えている」と自らの考えを表明することを避けた。侵略ということばを使いたくない安倍総理とまったく同様の姿勢をみせた。
山谷大臣は「安倍内閣として侵略や植民地支配を否定したことは一度もない」と答えるに留まった。「否定はしない」が、植民地支配や侵略を「肯定している」表現はとらなかった。委員会は何度も速記を止めるはめになった。
また、東京裁判について、すべての内容を日本として受諾したものとして認めるという理解で良いのかとの緒方議員の問いに、山谷大臣は「我が国として受諾しており、これに異議を述べる立場にない」と答えた。
しかし、過去の対談記事で、山谷大臣は東京裁判の内容に異議を唱えていることを追求され「先の答弁は安倍内閣の大臣として答えたもの」とし、個人としての見解とは意を異にすることをうかがわせた。緒方議員は山谷大臣の歴史認識に対する姿勢に懸念を表明。山谷大臣は「父は傷痍軍人だった。平和を願う思いは同じだ」と答弁した。(編集担当:森高龍二)