インドで、インターネット通販市場が急成長している。これまで同国では、伝統的な日用品店「キラナ」が小売市場の9割を占めていたが、低価格スマホの普及によってネット通販が広がりはじめたのだ。国民の消費志向が多様化し始める中で、総合小売店の外資参入が規制されていることも、ネット通販利用を促している。
特に、2013年に米アマゾンが進出して以来、インド国内企業との競争が活発となっている。アマゾンと激しい競争を展開しているのが、通販サイトを運営する現地大手スナップディールだ。同社のサイトは各企業が商品を出品するモール方式で、1500万点を超える品ぞろえで勝負している。
スナップディールはいま物流システム強化を急いでいる。すでに150人の技術者が物流システムの構築にあたっており、インド全土で50の物流倉庫を効率的に運営しているという。注文から配送準備が整うまで最短60分で、デリーなど25都市で即日配送を実現した。
昨年、同国を代表する財閥タタ・グループを率いるラタン・タタ会長やソフトバンク<9984>が、スナップディールへの出資を決めている。
スナップディールと並ぶ現地大手がフリップカートだ。今春、同社はグーグル幹部のペーイッシュ・ランジャンをエンジニアリング統括者に起用し、モバイル機器の製造を強化している。フリップカートの取引の7割近くをモバイル機器が占めており、モバイル機器普及を促すことで、取引を拡大する戦略だ。
ムンバイを拠点にするネット通販サイト「ローカルバニヤ」は、食品、調理器具などに特化した通販事業で成長している。
ユーロモニターの調査によると、インドのネット通販市場(14年)は前年から84%増の69億ドルに達している。19年には257億ドルに拡大すると見込まれている。
インドのネット通販市場での競争がさらに熾烈になってきそうだ。(編集担当:久保田雄城)