社会民主党は文部科学省の有識者会議で昨年、経済界のメンバーが、奨学金の返済ができない人たちに「防衛省などに頼み、1年とか2年とかインターンシップをやってもらえば就職は良くなる。防衛省は考えてもいいといっていると発言した」と紹介し「奨学金免除を条件に自衛隊に入隊という悪魔のリクルートがまかり通るようになってはいけない」と、今回の安保法案が通れば自衛隊への志願者が減るのではとの見方もある中で、警鐘を鳴らし、安保法案阻止などをアピールしている。
社民党は「日本がアメリカの戦争に参加できるようになれば、自衛隊への入隊者が減少するのではと指摘されている」としたうえで、奨学金を利用し学校を卒業したものの、就職先が見つからなかったり、非常勤社員や派遣社員で年収が低かったりなどのため、奨学金が返済できない人らが多いなか、「奨学金の返済免除を条件に自衛隊に入隊というリクルートがまかり通るようになってはいけない」と警戒する。
日本学生支援機構のデータとして、社民党は、2013年度末での奨学金返還義務者が約342万人おり、3か月以上の滞納者が約19万人。「雇用の劣化や収入の低さが滞納の主な原因になっている」と指摘。
そのうえで「仕事や収入がないために自衛隊に志願せざるを得ない状況が生まれかねない。アメリカでは学費などを稼ぐために貧困者が相次いで志願し、戦場に送られている」とし「戦争法(政府の安保法案)は若者たちの貧困、悪化する収入・雇用環境の問題とも直結する。戦争法案に反対し、無利子奨学金の拡充などに取り組む」と訴えている。
ちなみに「防衛省などに頼み、1年とか2年とかインターンシップをやってもらえば就職は良くなる。防衛省は考えてもいいといっている」と発言したのは、当時、経済同友会副代表幹事・専務理事だった前原金一氏で、昨年5月の有識者会議(学生への経済的支援の在り方に関する検討会)での発言。報道されると貧困層への「経済的徴兵制」など問題視する声があった。前原氏は当時、日本学生支援機構の政策企画委員会委員だった。委員会は現在「運営評議会」と名称変更されているが、委員(来年3月末までの任期)を務めている。(編集担当:森高龍二)