安保法案が通れば後方支援など自衛官の任務が拡大、リスクが高まることから、自衛官としての服務規程を説明したうえで、再度、服務の宣誓を確認すべきとの問いかけが10日の衆院安保特別委員会で提起され、中谷元防衛大臣は早々に席を立ち「自衛隊員は我が国を守るという宣誓のもとに日々、訓練している。宣誓を見直す(確認する)という必要はない」と答弁した。
質問したのは民主党の辻元清美議員で、同議員は「イラクの人道復興支援で道路敷設や学校を作るなどの活動でも危険があった。今度は弾薬の運搬など兵站を担う。(自衛官のリスクが高まるのだから)自衛隊員に服務の宣誓の説明をしたうえで、もう一度、宣誓して戴くことが必要。そうでなければ士気にもかかわると思う」と宣誓のし直しについて、総理に答弁を求めた。
これに対し、中谷防衛大臣は総理に求めた答弁にもかかわらず、間髪入れず答弁席に向かい、「自衛隊員は我が国を守るという宣誓のもとに日々訓練している。宣誓を見直す必要はない」とした。宣誓を渋る隊員が出た場合の影響を心配したのでは、との見方もある。
また、この日の質問で、辻元議員は、元最高裁判事の見解として「今の国際情勢で憲法解釈を変更するのは法律的にも、政治的にも認めがたい」としていることをあげたうえで、「菅義偉官房長官は憲法の番人は憲法学者じゃない、最高裁だといわれたが、そこにおられた方からも、(政府の安保法案は)憲法違反ではないかという発言が出ている。どう受け止めるか」と質した。
菅官房長官は「憲法については、砂川事件の判決、そして、今日までの政府見解に基づき、私たちは現憲法の論理的、基本的範囲の中で、今回、新たな3要件をつくり、間違いなく合憲であるという決意のもとに安保法案を提出した」と答えたが、説得力を欠くものだった。(編集担当:森高龍二)