ヤハマ発動機<7272>とヤマハ<7951>が、「Two Yamahas, One Passion~デザイン展2015~」を、7月3日に六本木ヒルズで開催した。本展は、2015年春にフランスで開催された「第9回サンテティエンヌ国際デザインビエンナーレ2015(Biennale Internationale Design Saint-Etienne)」に出展した「project AH A MAY(プロジェクト アーメイ)」の作品に加え、両社の最新デザインのコンセプトモデルも展示。
AH A MAYは聞きなれない言葉だが、これはYAMAHAを逆に読んだもの。自分たちの姿を鏡に映し、それを見ることによって己の姿を知っていくという、哲学的なプロセスをデザインの現場に持ち込んだら面白いという試みからスタートしたプロジェクトだ。バイクのヤマハ発動機と、楽器のヤマハのそれぞれのデザイナーを交換することで、条件や制約に縛られることなく、それぞれが培ってきた作法や考え方で、デザインを提案できるという。
展示している作品の中でも、目を惹いたのが、バイクのデザイナーが手がけた“FUJIN”と“RAIJIN”だ。普通マリンバは立って演奏するのだが、FUJINでは二人の奏者が前後に座って演奏し、さらに鍵盤が回転する。椅子はタンデムシートの形状をし、回転する動的な動きはバイクを想像させる。もう一つ球体型のドラムスRAIJINは、楽器の中で暴れまわるように演奏できる、既存のメソッドを超えた、人間の表現欲を満たす構造を探求したものだ。
楽器デザインを統括したのは、ヤマハ発動機株式会社デザイン本部長の長屋明浩氏。「プロダクトデザインは市場調査をして、市場ニーズにあったモノを作るのが基本です。でも、出来心でやってみるのも大事じゃないかと思っていました。バイクと同じように楽器に乗り、インタラクティブなものにしたらどうだろうという趣旨で作りました」
他のバイクメーカーでは、ホンダは自動車や航空機、スズキは自動車、カワサキは航空宇宙事業、ガスタービンなどを手がけているが、楽器のヤマハからスタートしたヤマハ発動機の製品には、スペックだけでは表現できない、人間の五感をダイレクトに刺激し、感動させるモノ作りを感じる。(編集担当:鈴木博之)