ビッグサイトで開催された「東京モーターサイクルショー2015」において、KTMがRC250とDUKE250を、世界初公開した。
KTMは長年オフロードバイクを販売してきた、オーストリアの2輪メーカーだ。だが、近年ではストリートバイクも積極的に販売してきており、2014年度は、オフロードバイクよりもストリートバイクの販売台数が上回った最初の年でもあった。1992年から2014年の車両総生産台数は約130万台で、その内50万台以上が直近の5年間に生産されているほど、急成長を遂げているメーカーだ。
なぜ、今回、日本でワールドプレミアしたのかと言うと、排気量が250ccクラスだというのが大きな理由の一つであろう。日本では125ccだと高速道路を走ることができない。かといって400ccだと2年毎の車検があり維持費がかかる。日本人の体型にあって軽量コンパクトで取り回しも楽。それでいてパワーも満足でき、車検もないという理由から、日本人にとっては250ccクラスがエントリーしやすいわけだ。だからこそ、KTMはRC250、250DUKEを、どこよりも先行して日本で発表したのだろう。
輸入車と聞くと高額なイメージがあるが、RC250と250DUKEは、スポーツモデルにしては安価なところも魅力の一つ。RC250の税込みの本体価格は62万円で、250DUKEは55万円で購入できるのだ。
ここまでの安価を可能にしたのは、390までのRCシリーズ、DUKEシリーズで同じプラットフォームを採用したこと。さらにはコストが安いインド・バジャジ生産によるところが大きい。それぞれ125、200、250、390は、基本的にエンジン以外は共通パーツを使用し、今回発表されたRC250と250DUKEのエンジンは共通となる。390をベースとしながら、ボアダウンした新設計エンジンだ。
国内勢も負けていない。ホンダのCBR250R、ヤマハのYZF-R25、カワサキのNinjaなど、250ccスポーツモデルを次々に発売してきており、売れ行きも好調だ。若い世代のバイク離れが、経済的な余裕がなく、生き方、趣味の多様性だと言われてはいるが、魅力的な250ccスポーツモデルを若い世代にも楽しんでもらい、次世代のリターンライダー予備軍を増やすことが、もっぱらのメーカーの課題だろう。
しかし、「東京モーターサイクルショー2015」の来場者を見ると、リターンライダーとおぼしき中高年層が目立った。駐車場に停めてあるバイクは、大型車や輸入車が多く占めており、250cc以下のバイクは少ないのが現状。バイクの総販売台数はここ数年で回復傾向にあるが、内情は、バイクブームを経験してきた世代がリターンライダーになり、増加しているということにすぎない。バイクに乗っている平均年齢も51歳というから驚く。若い世代がバイクに乗らないということは、未来のリターンライダーにもなりえないわけだ。メーカーもそこを懸念し、今回のイベントでは若者向けのデザインを意識したモデルを参考出品していた。大型モデルを得意とする輸入車勢が、250ccクラスを日本でワールドプレミアしたことにより、今年は250ccクラスがさらに注目されるだろう。(編集担当:鈴木博之)