【今週の振返り】疾風怒濤の週間値幅1312円で759円下落の週

2015年07月11日 21:08

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火曜日に2週続けてギリシャ発の株安の地球周回を止めた東京市場だが、翌水曜日には638円安の今年最大幅の下落地獄が待っていた。

 8日の日経平均は今年最大の大幅反落。NYダウは93ドル高と反発。ユーロ圏財務相会合でギリシャは「新しい提案は8日に出す」と言い出す時間泥棒ぶりでヨーロッパ市場は全面安。下げ止まらない中国市場とあいまってダウも一時大幅安になったが、5月の労働市場情勢指数(LMCI)が3万人増で求人数が過去最高になるなど経済指標の改善、IMF報告書が「FRBの利上げは来年まで待て」と警告したこと、イランの核協議の期限が10日まで延長されたこと、ギリシャがつなぎ融資を要請したことなどで、午後はプラスに転じた。ドル円はNY時間に一時121円台まで円高が進行したが朝方は122円台半ば。ユーロ円は134円台後半まで戻した。CME先物清算値は20440円だった。

 日経平均は94円安の20282円で始まる。TOPIXもマイナス。午前9時2分に20310円まで上がったが、序盤は前日の反動もありズルズル下げ一方。約20分で20200円も割り込み、9時31分の20158円で下げ止まる。日足一目均衡表の「雲(19791~20174円)」の中。9時台の間に20200円を一時回復するが、10時前からさらに一段安で10時15分には20100円を下回り、10時28分に20060円の安値をつける。

 今まで何度も辛酸をなめさせられてきた「SQ週の水曜日」だが、ドル円も急速に円高進行して122円を割り込みそうになり、要因は需給もあるが、やはり中国。上海市場と深セン市場では上下10%の値幅制限がありながら上場銘柄の5割近くが自ら申し出てこの日は「売買停止にしてもらう」という異常事態。ファナック<6954>、コマツ<6301>、伊藤忠商事<8001>など中国関連銘柄が軒並み大幅安で緊張高まる中、上海市場が10時30分に始まると7%を超える下落で、香港ハンセン指数も約2.3%のマイナスで始まった。日経平均はさらに下値を追って2万円スレスレの水準で低迷し、20100円台になかなか戻れない。11時13分には75日移動平均(20019円)も割り込んで359円安の20016円まで下げたが、2万円はかろうじて守りきり、前引けは309円安の20067円。TOPIXも1600台を守った。

 上海市場はマイナス圏で徐々に戻し、昼休みのドル円は122円台前半に踏みどどまっていたが、日経平均先物は2万円割れ。日経平均は後場、2万円をとうとう割り込んで再開。TOPIXも1600割れ。鬼門のSQ週の水曜日とはいえ、原油や鉄鋼など商品市況の下落、海外投資家が日本株を売って中国株の損失や売買停止で売れない分を穴埋めするなど、リスクオフ要因があれこれ思い浮かぶ。19900円さえ守りきれず午後1時2分に19883円まで下落する「大変調」。2万円という「最後の一線」を超えたため売りが売りを呼ぶパニックも招き、「雲」の中で押し目買いが入ってもたちまち売り勢力の餌食になる。1時台後半にはたびたび19800円を割り込んで1時57分に19782円の最安値更新。これは「雲」の下限より下で、5月18日以来の水準。

 売りの嵐の中、2時に6月の「街角景気」こと景気ウォッチャー調査が発表された。現状判断指数は5月調査から2.3ポイント低下し51.0で、2ヵ月連続の低下。危惧されていた「個人消費の減退」があらわれた。先行判断指数も1.0ポイント低下して53.5。2時台はせめて19800円台は保てると思えば、ドル円が122円を割り込んだ終盤は再び下回り、最後は安値引けで638円安の19737円という今年最大の下落を記録する惨憺たる終値。5月15日以来の安値で今年初めて「雲」の下の世界に出た。TOPIXもJPX日経400も安値引けになった。

 新規IPOが1件。取扱説明書など各種ドキュメントの企画・制作・翻訳・印刷などを手がけるクレステック<7812>がジャスダックに新規上場。公開価格960円に対して0時43分、82.3%高い1751円の初値がついた。前日に東証マザーズに新規上場して初値がつかなかった富士山マガジンサービス<3138>は9時00分、公開価格2650円の2.26倍の6000円の初値がついた。

 日経平均終値は638.95円安の19737.64円、TOPIX終値は-54.75の1582.48。売買高は31億株、売買代金は3兆3946億円というSQ日並みの大商い。値上がり銘柄数は43、値下がり銘柄数は1835。全33業種がマイナスで、下げ幅が小さいセクターは食料品、ゴム製品、医薬品、石油・石炭、海運、陸運、鉱業など。下げ幅が大きい大きいセクターはその他金融、保険、鉄鋼、銀行、卸売、パルプ・紙、非鉄金属などだった。

 9日の日経平均は反発。ギリシャがESM(欧州安定メカニズム)に3年間の融資を求めヨーロッパ各国市場はプラス。しかしNYダウは上海市場の底なしの下落を受けてマイナスで始まり、午後にはシステム障害で約3時間半にわたって取引停止。テロの可能性は低く取引所外取引の株価でダウの数値はついていたが、投資家の売買意欲がそがれ低迷。利上げに慎重だったFOMCの議事要旨の影響も限定的。4時の取引終了までに再開できたがNYダウ終値は261ドル安と反落し、NASDAQも大幅に下落した。リスクオフの円買いでドル円は120円台後半、ユーロ円は133円台後半まで円高進行。CME先物清算値は19285円だった。