【今週の振返り】疾風怒濤の週間値幅1312円で759円下落の週

2015年07月11日 21:08

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火曜日に2週続けてギリシャ発の株安の地球周回を止めた東京市場だが、翌水曜日には638円安の今年最大幅の下落地獄が待っていた。

 日経平均は314円安の19422円で始まる。TOPIXも大幅安で1550台スタート。序盤はズルズル下落し、午前9時33分に622円安の19115円まで下落する。振り向けば18000円台がすぐ間近。ボリンジャーバンドの25日線-3σを割り込み、確率0.3%以下というめったに見られないゾーンに落ち込んだ。東京市場は為替は円高、金先物は上昇、債券が買われ金利は下落というリスクオフに沈む。10時30分に開いた上海市場は約2%の下落で始まり、この日も先行きに暗雲が漂う。前日、翼を失って「雲」の下まで急落したイカロスは、大幅マイナス圏のラビリンス(迷宮)をみじめにさまよう。ところが、上海総合指数が下げ幅を圧縮して希望の光が見え、11時前から日経平均も上昇して前日終値に迫り、前引けは135円安の19602円だった。

 後場はほぼ前引け水準で再開し、いったん19400円付近まで押し下げられるが、午後1時以降は「上海がプラスに」というニュースも入り上昇する一方。「落ちてくるナイフをつかむな」といわれるが、前日の「千のナイフ」状態では手が出せなかった押し目買い勢力が上海の反発で「チャンスだ」と一斉蜂起した模様。東京都心部オフィス空室率が5.12%で2ヵ月連続で低下したことも追い風になる。2時台後半にはついにプラスに浮上し、終盤も上昇は止まらず終値は117円高の19855円で高値引け。しかし押し目買いは先物に偏っていたようでTOPIXはプラスになれず続落した。戻しは前日の638円安から18.4%で2割に満たないとはいえ、序盤の622円安から737円も上昇したのは敢闘賞。日中値幅は今年最大だった。上海総合指数は結局、+5.76%の大幅高で終えた。

 日経平均終値は117.86円高の19855.50円、TOPIX終値は-2.59の1579.89。押し目買いで売買高は37億株、売買代金は3兆8409億円という大商い。しかし値上がり銘柄数は419、値下がり銘柄数は1406で買われた銘柄は大型株ばかりだった。プラスの業種は14で上位は保険、電気・ガス、証券、不動産、小売、卸売など。繊維はプラスマイナスゼロ。マイナスの業種は18で下位は陸運、パルプ・紙、海運、ゴム製品、医薬品、鉄鋼など。

 10日の日経平均は反落。NYダウは反発し33ドル高。NASDAQもプラス。上海市場の5.76%高の急反発、ヨーロッパの株高を受けて240ドルを超えるプラスで始まったが、新規失業保険申請件数の悪化、IMFの世界経済見通しで2015年のアメリカのGDP成長率が+3.1%から+2.5%に引き下げられたこと、ギリシャが「120億ユーロの財政収支改善」を盛り込んだ新再建案を提出した12日のEU首脳会議の行方を見守りたい動きなどがあいまって上げ幅をどんどん圧縮した。それでも金先物は下落し、債券は売られリスクオンにスイッチ。為替のドル円は121円台後半で前日よりも円安。ユーロ円は133円台後半。CME先物は2万円に迫ったが清算値は19665円だった。

 IMFの2015年の世界経済見通しは世界全体で0.2ポイント引き下げられ+3.3%、日本は0.2ポイント引き下げられ+0.8%だった。取引時間前に日銀が発表した6月の国内企業物価指数(PPI)は前年同月比-2.4%で市場予測の-2.2%より悪かった。「マイナーSQ」の日の日経平均は25.57円安の19829.93円で始まる。TOPIXは3日ぶりの反発スタート。午前9時4分にSQ値19849.15円が出た。それが出た後は大きく下げて19800円を割り込み、19700円台半ばまで沈む。TOPIXはプラス維持なので「SQ日の指数プレイ」ありあり。序盤は前日終値の19855円付近まで戻したかと思えば、9時51分に19720円まで下げるという乱高下ぶりだった。

 それでもTOPIXはずっとプラスで、日経平均も10時台になるとマイナスながら19800円付近で落ち着く。上海市場がオープンし、マイナスで始まってもすぐにプラスに変わると日経平均も安心したように上昇開始。10時34分にプラスに浮上し、上についた不吉な「まぼろしのSQ」を消した後、10時41分には19900円を突破して心理的節目の2万円を目指す。しかし10時46分の19968円をピークに上値を抑えられ、一気に突破するまではいかない。TOPIXも1599どまりで1600突破を阻まれていた。その後は19950円をはさんで動き、前引けは81円高の19937円だった。

 後場はやや低い水準で再開するが、午後0時38分に19978円まで上昇して2万円回復まであと22円に迫る。上海市場は大幅続伸。TOPIXは1600にタッチするが日経平均は2万円を突破できないまま、1時台はジリジリ下げ続けてマイナスに沈む。それでも下げ止まらず2時台は19700円台前半のこの日の最安値水準まで下げてしまう。週初めから約500円下げようと「利益確定売りの金曜日」はきっちりやってくる律儀者。TOPIXがマイナスにタッチしたのは数分程度で、実態はファーストリテイリング<9983>がひとり悪役でマイナス圏に低迷する先物主導。終盤は戻してもたびたび利食いが入るためもプラスになれず、19800円をはさんだ乱高下。日足一目均衡表の「雲」の下端が19791円にあり、これがレジスタンスラインの闘士と化していた。大引け直前、最後のお楽しみのようにプラスに迫ったが、終値は75円安の19779円。TOPIXは手堅く3日ぶりに反発した。上海総合指数は4.54%高で続伸していた。

 新規IPOが1件。製造コンサルティング、ファクトリーアウトソーシング、人材派遣、有料職業紹介などの事業を行う平山<7781>がジャスダックに新規上場。公開価格2130円に対して9時52分、29.4%高い2758円の初値がついた。これで4月22日以来、グノシー<6047>の引き分け1回をはさんで「初値>公開価格」20連勝。今年の新規IPOの黒星はまだ3敗にとどまっている。

 日経平均終値は75.67円安の19779.83円、TOPIX終値は+3.66の1583.55。SQ日なので売買高は27億株、売買代金は3兆2119億円。値上がり銘柄数は860、値下がり銘柄数は932。19業種が上昇し、上位は食料品、銀行、鉱業、情報・通信、陸運、その他金融など。14業種が下落し、下位は小売、電気機器、海運、ゴム製品、繊維、化学などだった。

 疾風怒濤、大荒れの今週の星取は2勝3敗。前週末3日の終値20539.79円から759.96円下落して今週の取引を終えた。9日の前場には週間騰落ベースで1424円安という「地獄の釜の底」をのぞいたから、2日でよくぞここまでリカバリーした、とは言えるだろう。(編集担当:寺尾淳)