日本企業による海外企業買収が加速

2015年07月14日 07:44

画・日本企業による海外企業買収が加速

日本企業による海外企業買収が拡大している。米トムソン・ロイターによると、2015年1~6月の買収総額は約5兆6000億円に達した。

 日本企業による海外企業買収が拡大している。米トムソン・ロイターによると、2015年1~6月の買収総額は約5兆6000億円に達した。前年同期と比べ6割増だ。同期間の日本企業の海外M&A(合併・買収)は324件で、1件あたりの平均買収金額は約170億円。

 金額が最も大きかったのが東京海上ホールディングス〈8766〉による米保険会社HCCインシュアランス・ホールディングス買収だ。買収金額は約9400億円で、円ベースの買収額としては、日本の金融機関による海外M&Aで最大規模。大型買収としてはほかに、日本郵政グループによる豪物流大手トール・ホールディングス買収(約6000億円)がある。また、キヤノンは約3000億円を投じ、ネットワークカメラの世界最大手アクシス(スウェーデン)を子会社化した。

 アジアでのM&Aも活発になっている。伊藤忠商事〈8001〉は、中国の国有複合企業「中国中信集団(CITIC)」傘下企業へ約6000億円出資した。また、近鉄エクスプレス〈9375〉はシンガポールの物流会社「APLロジスティクス」を約1500億円で買収した。

 海外でのM&A拡大の背景には、企業業績の改善によって投資余力が高まったことがある。さらに6月から、東京証券取引所、金融庁による企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)の適用が始まり、株主重視の経営の流れが強まっていることも、M&A拡大に拍車をかけていると考えられる。

 国内市場の飽和と株主重視の経営は、長期的なトレンドでもあり、日本企業による海外M&Aは今後も拡大していきそうだ。(編集担当:久保田雄城)