かつて自民党の幹部を務め、戦争を知る自民党OBの亀井静香元自民党政調会長、藤井裕久元自民党幹事長、山崎拓元防衛庁長官らが日本記者クラブで6月にそろって記者会見した際、集団的自衛権行使を憲法解釈変更で容認し、これをもとにした安保法案を成立させようとしている安倍政権の行為に、戦後70年で「今、最大の危機に直面している」との認識を示し「このままでは日本はほんとに間違った道に進む」と強い懸念を示していたことがわかった。
山崎元防衛庁長官は「自衛隊が自ら血を流し、相手方も血を流させる、殺し殺される関係になることは間違いない」と断言。そのうえで中国や北朝鮮の動きに対する対応では「現行法の整備で十分対応できる」とした。
また亀井元政調会長は「国家の在り方、国是としてきたことを1内閣が1国会で変えようとしている。こういう問題は国民の意思を問うのは当たり前。子供でも分かる常識ですよ」と安倍内閣を厳しく批判し、是正を求めた。
藤井元幹事長は「集団的自衛権は完全に対等な軍事同盟だ。日本はこれまでに2回、対等な軍事同盟を結んでいる。第1回は明治35年の日英同盟。第2回は昭和15年の日独伊3国同盟だ。戦後はない。日米安保条約は、アメリカは日本を守る義務があるが、日本は土地を提供する義務があるというもので、集団的自衛権ではない」としたうえで「殴られれば、必ず殴り返すことになる」と懸念。
藤井元幹事長は「アメリカは世界の警察官の肩代わりを日本に求めていると思われる。俺の息子がイラクへ行って、なんで死ななきゃならないのか。日本が行ってやれよということ。こういう話がアメリカ国内ではでてきている。こんなことをしていたら、日本は本当に間違った道に進む」と懸念を表明した。
山崎元防衛庁長官は後方支援について「正面と後方は一体だ。我が国が事実上の武力行使をやるということになる。あるいは戦闘行為に加担することになる。後方支援は実際に戦闘行為が行われている地域ではない。離れた場所だと説明しているが、また、離れた場所が戦闘地域になった場合には場所を変えるというが、そんなことは事実上できない」と問題視。
山崎元防衛庁長官は「兵站を自由に動かすということはできないし、後方支援の自衛隊が如何なる装備を持っていくかという説明も一切ない。装甲車などを持っていくのはまちがいないので、重装備になる。それを自在に動かすということはできない。積極的平和主義の名の下に行われる地球の裏側まで行って後方支援活動をするのは、つまるところ、武力行使と武器の使用は違うと言ったが、明らかに憲法違反になる行動を惹起することになる。自衛隊が自ら血を流し、相手方も血を流させる、殺し殺される関係になることは間違いない」と断言した。(編集担当:森高龍二)