今、東芝<6502>の根幹を揺るがす大きな問題となっている不適切会計問題だが、その調査を行っている弁護士らによる第三者委員会は17日、20日に報告書を提出し21日に田中久雄社長が会見を行うと発表した。不適切会計問題では、営業利益の水増し額が5年間で1500億円以上に膨らむ予想で、また不適切会計の操作が西田相談役が社長を務めていた時代から行われていたとみられている。さらに前社長の佐々木副会長と田中久雄社長が水増しを促すメールを送っていたことなどがわかっている。
予定では、20日午後7時ごろに第三者委員会が東芝に報告書を提出。その後、東芝は同社や取引先の営業上の秘密や個人情報など、非開示にすべき部分があるかを検討した後に、同日9ごろに報告書の要約版を公表する。そして翌日21日の午後3時に全文を公表。いずれもインターネット上で開示される見通し。会見は同日午後5時に行われる予定だ。
第三者委員会からの報告書を受けるにあたって東芝は、17日に、「今回の会計処理の問題により、株主、投資家の皆様をはじめとするステークホールドの皆様には、多大なご迷惑、ご心配をお掛けいたしておりますことを心からお詫び申し上げますとともに、当社は、信頼回復に向けて全社一丸となって尽力してまいる所存でございます」とのコメントを発表している。
会見では田中久雄社長が辞意を表明する公算が高いが、今回の不適切会計問題は社会インフラ、半導体、パソコン、テレビなど主要事業のほとんどで発生しており、4人の副社長全員が不適切会計が行われていた時期に各部門のトップを務めていたため、後任の社長選びには難航するのではないかとみられている。そのため、外部から後任社長を招くべきとの意見もあるようだが、どういう形で選任されるかその見通しは立っていない。いずれにせよ、これだけ大きな問題に発展してしまった以上、生半可な「結論」では東芝のコメント上にある「信頼回復」はかなわないだろう。不適切会計が行われた社風を一新することのできる、根本的な革新が必要だ。(編集担当:滝川幸平)