【今週の展望】CME先物清算値と為替が日経平均を規定する

2015年07月26日 20:36

 一方、裁定買い残、信用倍率の落ち着きは前週も続いていたと考えられる。17日時点の裁定買い残は3週ぶりに増えて2.7兆円だったが、破竹の12連騰当時の3.8兆円(5月29日)に比べると約3割も少ない。信用倍率も10日の5.35から17日は4.30に低下した。それが前週のボラティリティの低さの背景にあり、今週も需給が「ゲリラ急落」のような波風を起こすことはないと思われる。波風を起こすものと言えば、上海市場だろう。

 そのため今週は、朝の経済ニュースで報じられるCME先物清算値と為替のドル円レートがその日の日経平均終値をほぼ規定するという、前週と変わらぬ流れが予想される。

 前週末24日の日経平均終値20544.53円のテクニカル・ポジションを確認しておくと、5日移動平均の20663円よりも下で、25日移動平均の20408円よりも上。75日移動平均は20158円で、相変わらず19885~20184円の日足一目均衡表の「雲」の中にある。今週は雲の上限が27日の20206円から30日の20471円まで上昇し、来週、月が変われば8月上旬に20497円まで上がる。雲の接近はしっかりした下支えの存在を意味する。雲の下限は28日に2万円を超えて30日には20105円まで上昇するので、もし2万円の大台を割ったら雲の下の空間に出る。

 ボリンジャーバンドでは、24日終値は雲の中の25日線-1σ(20088円)と+1σ(20728円)の間のニュートラルな領域にあり、上にも下にも動きやすいポジションにある。

 5日続伸で週間871円上昇した17日時点と比べると、前週の2勝2敗の「日柄調整」でオシレーター系指標の「買われすぎ」シグナルは消灯したかと思いきや、24日時点でもRCI(順位相関指数)が+83.2で+50を超えて買われすぎ、ストキャスティクス(9日・Fast)が80.9で70を超えて買われすぎ。サイコロジカルラインも21日までの6連騰が効いて8勝4敗の66.7と高い。それでも25日移動平均乖離率は+0.66%とごく小さく、RSI(相対力指数)は50.1のほぼ中間点。騰落レシオは111.6、ボリュームレシオは62.2だった。全体的には買われすぎとは言えないだろう。

 それでも、21日ザラ場に20850円まで上昇したような派手な上値追いはできないとみる。22~24日の高値20631~20708円にプラスアルファして、ボリンジャーバンドの25日線+1σの20728円あたりが今週の上限とみる。下値のほうは通常であれば25日移動平均の20408円がサポートラインとして機能してくれそうだが、上海市場に変事があれば雲の上限20184円あたりまで後退することも頭に入れておく必要がある。怖がりすぎだと言われそうだが、「伏魔殿」のチャイナリスクは、それほどまでに恐ろしい。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは、上海が平穏無事に過ぎるという前提つきで20400~20750円とみる。

 波乱続きの7月も今週で終わる。シカゴCBOEの「恐怖指数(VIX指数)」は月初には一時20を超えていたが、12以下まで低下した。恐怖の度合いは4割減っても、投資家はギリシャと上海が東京市場にもたらしたあの「地獄」を忘れてはいけない。それは人を謙虚にし、賢明にする。「地獄がないと人は獣のようになるだろう。地獄がなければ尊厳もなくなる」(フラナリー・オコナー)(編集担当:寺尾淳)