米軍と自衛隊が共同使用している神奈川県厚木市の厚木基地周辺住民による騒音訴訟に、東京高裁は30日、やむを得ない場合を除き、自衛隊機の夜10時から翌朝6時までの飛行差し止めを認める判決を下した。また、米空母艦載機が山口県・岩国基地に移転される在日米軍再編計画を踏まえ、艦載機移転予定の来年末までの将来にわたる損害賠償請求分も認めた。賠償額は総額94億円になる。
基地周辺住民ら約6900人が自衛隊機や米軍機の深夜から早朝の飛行差し止めと騒音被害への損害賠償を求めていた。高裁は自衛隊機について訴えを認め、過去の騒音被害82億円に、来年末までの将来被害も含め総額で94億円の損害賠償を認めた。米軍機については差し止め請求を認めなかった。
この判決に対し、同日開かれた参院安保特別委員会で、社民党の福島みずほ副党首は「国は上告せず、判決を確定させるべきだ」と中谷元防衛大臣に見解を求めた。
中谷防衛大臣は「自衛隊機の(深夜から早朝の)飛行差し止めと損害賠償の一部が認容されたことは、国の主張について、裁判所の理解が得られなかったもので残念だ」とした。
そのうえで中谷防衛大臣は「飛行差し止めの判断は受け入れがたい」とし「上訴を検討する」と語った。また「基地周辺の生活環境などの整備は進めていく」とした。(編集担当:森高龍二)