後方支援で与野党激突

2015年08月02日 17:42

 後方支援について、2日のNHK番組で日本共産党の井上哲士参院幹事長は「後方支援の名による兵站活動は外国から見れば武力行使そのもの。明確な憲法違反だ」と指摘した。

 また「対テロ戦争では兵站ほど狙われやすい。アフガニスタン、イラクでは燃料や水の補給任務(2003年から2007年米会計年度)に米陸軍だけで3000人以上の死傷者が出ている。米陸軍環境政策研究所は戦場での燃料や水の補給は命がけだと報告している。政府は安全な場所で行うというが、アフガニスタンでの米軍以外の犠牲者をみても4分の3は路肩などに仕掛けられたIED(即席爆発装置)による。テロ戦争は銃撃戦ではなく、突然、その場所が戦闘現場になる」と自衛隊任務の拡大でリスクが格段い高くなるとした。

 自民党の佐藤正久元防衛大臣政務官は「戦闘地域に入ってしまうということはあり得ない」と反論し「活動の場所は『実施区域』と言われる場所で、そこから一歩も外には出られない。(自衛隊の部隊は)輸送の拠点まで運ぶのであって、(そこから先はそれぞれの部隊が運ぶので、自衛隊の部隊が)前線まで運ぶことはない」と強調。

 佐藤元政務官は「非戦闘地域と戦闘地域の線引きは極めてあいまいなので、そのために法律上の整理として、現に戦闘が起きている現場ではやらないということにした。安全性と活動の円滑さで実施区域を選ぶということ」と理解を求めた。

 公明党の荒木清寛外交安全保障調査会副会長は「現に戦闘行為が行われている現場では行わない。後方支援の内容は補給や輸送。外国部隊の指揮下に入るわけでないということで、憲法9条の武力行使に当たらない」と語った。

 これに民主党の福山哲郎元官房副長官は「これは武力行使の一体化で、自衛隊員のリスクが高まるとしか言えない」。生活の党の山本太郎共同代表は「武力行使している軍隊に燃料補給や輸送、給油を行うなど武力行使そのもの。武力行使と一体化しない後方支援はあり得ない」と反論した。

 また、社民党の福島みずほ副党首は「条文上は現に戦闘行為が行われている現場でなければ、戦場の隣で弾薬を提供できるし、発進準備中の戦闘機に給油もできる。名古屋高裁は弾薬を提供し、米兵を運んだことは違憲であり、イラク復興支援措置法が仮に合憲だとしても、法に反するとの判決が出た。これまで弾薬の提供はできなかった。弾薬は消耗品だから武器ではないと中谷元防衛大臣は答弁したが、弾薬や給油が武力行使と一体化だから憲法との関係で駄目だということを法案に盛り込んだということは違憲だ。戦争支援法だ」と強く、批判した。

 名古屋高裁は航空自衛隊のイラクでの多国籍軍の兵員輸送には「多国籍軍の武装兵員を戦闘地域であるバグダッドに空輸する活動は、他国による武力行使と一体化した行動で、武力行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」として、違憲判決(2008年4月)をし、判決は確定している。(編集担当:森高龍二)