楽天がめざすモバイルソーシャル、AI研究とは

2015年08月03日 07:42

 楽天<4755>が海外に技術拠点を設置した。モバイルソーシャルとAI分野をメインとしたものだ。同社はインターネットの未来を予測し、新たなテクノロジーを創出するための研究機関「楽天技術研究所」の海外拠点を、シンガポール(「楽天技術研究所 Singapore」)と米国ボストン(「楽天技術研究所 Boston」)に新設したと発表した。これまで同研究所は、東京以外に2010年6月にニューヨークに、2014年2月にはパリにそれぞれ設立しており、今回の新設で4カ国5拠点での展開となる。

 「楽天技術研究所」は、所属する研究者たちの専門性を生かした活動を支援し、インターネット全般における先進技術を革新的なサービスにつなげる研究機関。同研究所では、インターネット企業の技術研究所として産学連携にも積極的に取り組んでおり、教育機関と人材交流を図りつつ、アカデミックな知識を取り入れながら研究を進めているという。

 今回新設したシンガポールの拠点ではモバイルソーシャル分野を、ボストンの拠点ではAI(人工知能)分野の研究を主にしており、これらをグローバルに推進していく方針だ。

 「楽天技術研究所 Singapore」は、心理学・モバイルソーシャル分野のエキスパートであるEwa Szymanska(エワ・シジマンスカ)氏が研究者チームを率いていく。研究領域は、心理学、行動科学、モバイルソーシャル分野が主体で、これらの知見に基づいた顧客満足度を高めるインターネットサービスの研究を行い、楽天の各事業にフィードバックし、さらなるサービスの向上を図っていく。

 一方、「楽天技術研究所 Boston」は、Eコマース企業でチーフサイエンティストとしてデータサイエンティストチームを率いてきたAnkur Datta(アンカー・ダッタ)氏が研究者チームを率いる。研究領域は、機械学習、深層学習、AI分野が主体で、特に現在進化が著しい人工知能分野の研究を推進し、世界の各開発拠点にいるビッグデータチームとも連携して、ビッグデータ活用のさらなる高度化を図る。

また、「楽天技術研究所 Singapore」と「楽天技術研究所 Boston」はともに、シンガポールおよびボストンを中心とした海外の大学・研究機関と積極的に連携し、海外における研究者の採用を進めていくという。その第一弾として、「楽天技術研究所 Singapore」では、アジア各国・地域のデータサイエンティストを対象として、楽天の子会社で、ビデオストリーミングサービスを世界で展開する、Viki社の保有するデータを用いた課題解決のコンテストである「Rakuten-Viki Global TV Recommender Challenge」を開始した。(編集担当:慶尾六郎)