礒崎陽輔総理補佐官が大分市で行った講演で「集団的自衛権も我が国を守るためのものだったらいいのではないか、と提案している。何を考えないといけないのか。法的安定性は関係ない」と大分合同新聞の7月28日朝刊に掲載された自らの発言要旨をHP(新着情報)に紹介した。
紹介の中で「『我が国を守るために必要な措置かどうかを気にしないといけない』という部分は『我が国を守るために必要な措置かどうかを基準としなければいけない』の誤りですので、訂正してお読みください(礒崎事務所)」としていることから、そのほかの部分は訂正の必要のない要旨だと判断できる。
その前提で、講演要旨をみると、礒崎補佐官は「憲法解釈を変えるのはおかしいと言われるが、時代が変わったのだから政府の解釈は必要に応じて変わる」と語っていることが紹介されており、この部分に対しての訂正はしていない。
礒崎補佐官の考えでは、安全保障環境が変われば、憲法解釈が必要に応じて変わっても許されるし、法的安定性は関係ないとの考えを改めて示したともいえる内容だ。
法治国家において法規定の解釈が安定していること、法的安定性こそ確保されていなければならないもので、集団的自衛権の行使がいかに安全保障上、必要になったとしても、憲法が認めていない以上、憲法改正手続きを経て、憲法改正して初めて可能になるものだ。現況に必要だから解釈を変えるという発想はあってはならない。
礒崎補佐官は3日の参院安保特別委員会に出席し、真意を説明したうえで、野党議員から質問を受けることになるが、法的安定性は関係ないという発言は「誤解を招く発言」というレベルでなく、確信的な発言と言えそう。委員会での質疑を注視したい。(編集担当:森高龍二)