安保法案をめぐる講演の中で「法的安定性は関係ない」などと発言していた礒崎陽輔総理補佐官は3日の参院安保特別委員会に参考人出席し、自らの発言について「7月26日の国政報告会での私の軽率な発言で安保法案の審議に多大な迷惑をかけたことを国民と与野党の先生方(議員)にお詫び申し上げる」と謝罪した。
礒崎補佐官は「法的安定性が重要であることは認識している。今回の法案は必要最小限度の武力の行使しか認めないとの従来の政府見解での憲法9条の解釈の基本的論理は全く変わっておらず、合憲性と法的安定性は確保されていると認識している」とした。
そのうえで、磯崎補佐官は「合憲性と法的安定性は当然の前提としたうえで、憲法との関係と共に、安全保障環境の変化を十分に踏まえる必要がある」との持論を展開。
礒崎補佐官は「安全保障環境の変化を十分に踏まえなければならないと言うときに、法的安定性は関係ないと言ってしまったことに大きな誤解を与えてしまったと大変申しわけなく思う」と法的安定性は関係ないとの発言は誤解を招く発言で、本意ではないと弁明した。
そして「法的安定性は関係ないとの発言は取り消すとともに、関係者におわびする」と述べた。一方で「総理補佐官としての職務に精励していく」とし、補佐官を辞任する考えのないことを明確にした。
また、講演の中で、安保法案を9月中旬にあげたいなどと発言していたことについて、鴻池祥肇委員長は「衆議院の拙速を戒めるのが参議院の役目であり、衆議院の足りないところを補完する役目がある。できるだけ合意形成に近づけていくことも役割だと思う」と強調したうえで「参議院で審議している最中に、9月中旬に法案をあげたいという発言はいかがなものか。参議院は衆議院の下部組織ではない。官邸の下請けをやっているのではない。補佐官にこの点を質したい」と詰問した。
礒崎補佐官は「二院制の意味を十分に理解しているつもりでいる。一院の行き過ぎを抑制する役割を持っている」とし「相手方もあるので、なかなか思うようにはいきませんよということを強調したかった。その前に、(法案を成立させたい)時期的なことを申し上げたのは総理補佐官の発言として極めて不適切であったと考えている」と弁明した。(編集担当:森高龍二)