民主党の枝野幸男幹事長は街頭演説で「安倍総理は総選挙で(衆院議席の)3分の2を(与党で)とった。しかし、選挙で勝ったら白紙委任で何をやってもいいのか」と国民の多くが今国会での成立はしない方が良いとする安保法案を成立させる姿勢を見せる安倍政権を強くけん制した。
枝野幹事長は「民主主義というのは単純な多数決ではない」と訴え「人類は何度も権力を握った者が独裁に走る経験をしている。ヒトラーは民主主義的プロセスで権力を握り、それを悪用し独裁に走った」とし「だから、どんな権力でも、しっかり歯止めをかけておかなければならない。権力を持っていても、やってはいけないことを決めておかねばならない。人類はその知恵を出した。そして権力者がやってはいけないルールを定めているのが憲法だ。憲法というのは国民の皆さんに義務を課すものではなく、権力を預ける者に対して国民が歯止めをかけるルールだ」と分かり易く訴えた。
そのうえで「安倍さんは憲法改正が手間だからと、勝手に憲法解釈を変えてしまう。集団的自衛権はそういう話」と問題提起し「大変恐ろしいことと言わざるを得ない」と訴えた。
枝野幹事長は憲法解釈を勝手に変える危険性の例に、徴兵制をあげ「憲法に徴兵制はだめだとは書いていない。徴兵制は憲法違反というのは解釈に過ぎない。この解釈は将来にわたっても変えないと安倍さんは言っているが、集団的自衛権だって、ついこの間までは、変えたくたって変えられなかった。安倍さんが突然、総理になって、変えると言って変えた。徴兵制だって次の総理、次の次の総理が(安倍さんの前例で)変えると言ったときに、どういう理屈でこれを止めるのか」と前例を作ってはならないと強く訴えた。
枝野幹事長は前例を作ることになれば、法的安定性を崩壊する深刻な問題であることも含め「安保法案だけの問題ではない。権力を縛っている様々なルール、国会で自分たちが言って来たことには縛られなければいけない。どうしても集団的自衛権をやりたければ、堂々と憲法改正を訴えればよい。裏口入学のような方法で、勝手に解釈を変え、国民の信も問わず、国民の反対があろうと(安倍政権は)やろうとしている。こんなことを許してしまうのは日本の憲法の平和主義にも反する。立憲主義にも反する。民主主義にも反する。全力をあげ阻止したい」と世論のバックアップを求めた。(編集担当:森高龍二)