安倍晋三総理は10日の参院予算員会で、100万人を超える個人情報の流出事件などが起きた日本年金機構に対して「職員の意識改革はじめ、システムやその運用、ガバナンスなど日本年金機構の組織全体について国民の期待に応えることのできるよう見直しを行う」と答えるとともに「厚生労働省による年金機構への監督・指導体制についても抜本的強化を図っていく」と答えた。
維新の党の川田龍平議員が「年金機構には厚生労働省から44人もの出向者がいる。今回の個人情報流出事件を受けて、さらに17人が追加で送り込まれているが、蓋をあけると、情報を正確に上にあげないどころか、ミスを隠すなど、塩崎恭久厚生労働大臣ですら『役に立っていない』と認める有り様だ」と総理に質したのに答えた。
安倍総理は「今回の事案では日本年金機構のシステムや運用に基本的な問題があったのは事実」とし「厚労省の対応も含め、年金に対し国民に不安が生じていることは大変申し訳なく思っている」と陳謝した。
そのうえで安倍総理は「旧社会保険庁で多くの問題が生じ、国民の信頼を失った。そのため、体質を一掃し、国民の信頼を回復するため日本年金機構を設置した。しかし、基本的な対応がおろそかになっていたことは大変残念であり、現在、検証委員会で徹底的な議論を頂いており、8月中旬ぐらいに中間報告をまとめると聞いている。その結果もふまえ、二度とこうしたことが起こらないよう、職員の意識改革をはじめ、システムやその運用、ガバナンスなど日本年金機構の組織全体について国民の期待に応えることができるよう見直しを行う」と答えた。
また日本年金機構の水島藤一郎理事長は個人情報が流出して3か月経とうとしているが、未だに犯人や被害の全容が明らかになっていない。水島理事長は年金機構の体質を本気で変える気持ちがあるのかと質され「年金記録問題の対応や国民年金保険料の収納対策などで一定の成果をあげつつある。また若い人たちのなかに極めて有能な人もおり、意欲を感じているので、この組織は着実にかわりつつある」と答えた。
そのうえで「民間ならとうに潰れているとしたのは、職員のひとりひとりが事の重大さを認識し、二次被害の防止にむけて全員が一体になって取り組むようにと言ったものだ」とし「組織の再生に全力を尽くしたい」と釈明した。(編集担当:森高龍二)