九州電力は11日午前、川内原発1号機を起動させる。原子力規制委員会の新規制基準設定後の最初の再稼働となる。政府は新規制基準に適合した原発は再稼働を急ぐ考えで、経団連などの要望を受けて、再稼働を加速する。原発問題は再稼働と共に安全性をめぐり国会でも再び議論を呼びそう。
九州電力は10日「川内原発1号機(加圧水型軽水炉、定格電気出力89万kW)は11日に原子炉を起動し、8月14日には発電を再開できる見込みとなった」と発表した。
発表では「発電再開後、徐々に出力を上昇させ調整運転を行い、9月上旬には国による総合負荷性能検査を受検し、通常運転に復帰する予定」としている。
川内原発の再稼働をめぐっては公開説明会の開催要望を祝言自治体議会が行っているのに答えていないなどの提起が国会で行われ、10日の参院予算員会では福島みずほ社民党副党首が火山噴火などの懸念は払拭されていない旨をあげ、将来の過酷事故が起きた場合「総理や経産大臣は刑事被告人となる覚悟があるのか」と追及する場面もあった。
これに宮沢洋一経産大臣は「世界最高水準の新規制基準(安全基準)が定められ、これに適合するという原発については、政府として再稼働を進める方針であり、再稼働することが刑事責任につながるものとは考えていない」と答えた。
安倍晋三総理も「安全神話に陥ることなく、事業者と規制当局がさらなる安全性の向上を不断に追求していくことが何より重要」と答えたが、「新規制基準に適合した原発は再稼働させていく」と再稼働促進の姿勢を強く示した。
九州電力は「引き続き、国の検査に真摯かつ丁寧に取り組むとともに、安全確保を最優先に、再稼働工程を慎重に進めていく」としている。(編集担当:森高龍二)