【総合商社の4~6月期決算】収益で非資源分野が資源分野を補えるか否かが全体の業績を左右する状況に変わりない

2015年08月13日 07:22

 8月6日、総合商社6社の4~6月期決算が出揃った。この四半期は前期の各社の決算を大きく悪化させた原油、鉄鉱石、銅など資源価格の下落はほぼ止まったが、タイムラグもあり資源分野の業績はほとんど上向かなかった。機械や情報・メディア、生活関連、不動産など非資源分野の収益の伸びが、資源分野の収益の落ち込みを補うことができた伊藤忠商事、住友商事、丸紅、双日は最終増益だったが、資源分野の比率が大きいためにそれができなかった三井物産、三菱商事は最終減益。前期に資源分野で3103億円の減損損失を計上して赤字決算に陥った住友商事は56.7%の最終増益、進捗率35.6%で、通期の黒字転換に向けて視界良好な決算だった。各社とも資源価格のこれ以上の下落がなければ、通期業績の計画達成は可能だとみている。

 ■非資源分野が資源分野をカバーできれば増益

 2015年3月期の実績は、三井物産<8031>は売上高4.8%減、税引前利益11.8%減、四半期利益21.5%減、最終四半期利益(連結純利益)24.2%減の減収、2ケタ減益。資源価格の下落が重くのしかかり、エネルギー部門の純利益はLNGプロジェクトの受取配当金が減少したこともあり71%減、金属資源部門の純利益は鉄鉱石価格の下落が約800億円の減益要因になり65%減だった。一方でアメリカの子会社の利益が5倍以上伸びた飼料添加物や、株式評価益を88億円計上した中国の創薬ベンチャーのような、好結果を残した非資源の分野もあった。

 三菱商事<8058>は収益3.9%減、税引前利益31.3%減、四半期利益26.4%減、最終四半期利益31.9%減の減収減益。原油価格や金属価格の下落が大幅減益の要因になった。資源分野の最終利益は前年同期比で約7割減。原油やオーストラリアの石炭などエネルギー事業の最終利益は37%減で、金属分野の最終損益は黒字から102億円の赤字に転じた。それでもタイムラグがあり、約半年前の資源価格下落がこの四半期に響くのは想定の範囲内という。非資源分野もサケ養殖の市況悪化などの影響で生活産業分野が不振で最終利益は13%減だったが、船舶など機械分野は比較的堅調に推移していた。

 伊藤忠商事<8001>は収益4.9%減、営業利益12.4%減、税引前四半期利益16.0%増、最終四半期純利益50.3%増の減収、最終大幅増益。エネルギー・化学品部門はアメリカで石油・ガスの開発事業から撤退して収益が改善し、不動産販売、ヨーロッパのタイヤ事業、国内の情報産業事業が好調で非資源分野は増益だった。さらにアメリカの住宅資材関連子会社の売却益を特別利益に計上したことで、最終利益は4~6月期としては過去最高を記録している。

 住友商事<8053>は売上高3.2%減、営業利益50.7%増、税引前利益57.3%増、四半期利益59.6%増、最終四半期損益56.7%増の増収、大幅増益。資源・化学品部門は、前期に3103億円の減損損失を計上した資源関連事業を売却した一過性の利益が資源価格低迷による減益分をカバーし、部門利益は約5倍に。メディア・生活部門はジュピターテレコムが好調で部門利益76%増。不動産事業も堅調だった。一方、北米の鋼管事業が悪く金属部門の利益は32%減だった。

 丸紅<8002>は売上高9.5%減、営業利益1.8%減、税引前利益3.4%減、四半期利益2.7%増、最終四半期利益2.8%増の減収、最終増益。最終利益は4~6月期としては過去最高だった。資源部門のエネルギー・金属は原油価格、銅価格の下落が響いて55%の減益だったが、非資源部門の生活産業は27%の増益で、情報関連の株式売却益の計上、中国のマンション販売、前期の資源分野での減損損失計上や事業売却による税負担の軽減も最終増益に寄与している。

 双日<2768>は売上高8.8%増、営業利益19.0%減、税引前利益1.4%増、四半期利益17.4%増、最終四半期利益19.2%増の増収、2ケタ最終増益。非資源部門は航空関連の取引が好調で、自動車販売事業も固定資産売却益が出て、原油価格や石炭価格の下落で不振だったエネルギー・金属部門の減収減益をカバーできた。

 ■資源価格は現状ならば通期見通しの達成可能

 2016年3月期の通期業績見通しは、三井物産は最終当期利益(連結純利益)だけ公表し21.7%減、予想年間配当64円と合わせて修正はなかった。4~6月期の最終利益の通期見通しに対する進捗率は40.3%と高いが、松原圭吾CFO(最高財務責任者)によれば「評価益の計上を除けばほぼ計画通り」といい、期初の想定を下回っている鉄鉱石、原油、銅の価格については「季節要因もあり、想定の範囲内」と話している。

 三菱商事は最終当期利益(連結純利益)だけを公表し10.1%減の減益で修正なし。予想年間配当56円も変わらない。4~6月期の最終利益の通期見通しに対する進捗率は20.8%。前期に計上したローソン株の減損戻し入れ益がなくなるのが大きな減益要因だが、今後、収益源の非資源分野が伸びれば上方修正の可能性はある。内野州馬CFOは「機械分野などの進捗率は高い。通期ベースではキャッチアップできる」と話している。

 伊藤忠商事は収益0.2%増、営業利益12.0%減、税引前利益3.0%減、最終当期純利益9.8%増の通期業績見通し、50円の予想年間配当に修正はなかった。4~6月期の最終利益の通期見通しに対する進捗率は36.8%と大きい。中国の国有複合企業、中国中信(CITIC)と戦略的な提携を結んだ中国事業は、非資源分野の生活消費関連が主なので景気減速であまり大きな影響は受けていないといい、鉢村剛CFOは通期業績見通しについて「上方修正の余地は十分ある。7~9月期の動向を見て検討する」と述べている。

 住友商事は売上高は8兆6000億円でほとんど増減なしで、税引前利益2900億円、最終当期利益2300億円の黒字転換を見込んでいる通期業績見通しも、50円の予想年間配当も修正はなかった。4~6月期の最終利益の通期見通しに対する進捗率は35.6%と大きかった。減損損失は出ずにすみ前々期の2230億円と同程度以上の最終利益が望める見通し。ただし猪原弘之CFOは中国経済について「需要減退が資源価格の下落を招いている。建設機械の売れ行きも良くない」と懸念している。

 丸紅<8002>は売上高0.5%増、営業利益6.7%減、税引前利益100.6%増(約2倍)、当期利益68.5%増、最終当期利益70.4%増の通期業績見通しも、21円の予想年間配当も修正していない。4~6月期の最終利益の通期見通しに対する進捗率は39.4%と大きいが、原油価格や銅価格が現状、期初に想定した価格を下回っているために上方修正はしなかった。松村之彦CFOは「現状の価格が続くと7~9月期以降に影響が出るが、年間計画は達成できる」と話している。

 双日は売上高7.2%増、営業利益20.7%増、税引前利益11.3%増、最終当期利益20.9%増の通期業績見通しも、8円の予想年間配当も修正していない。4~6月期の最終利益の通期見通しに対する進捗率は26.4%だった。茂木良夫CFOは「資源安による下振れ懸念はあるが、現状の価格なら期初予想は達成できる」と、非資源分野の伸びに期待する。(編集担当:寺尾淳)