ソフトバンク、スプリント株を追加取得

2015年08月16日 14:20

 今月の4日、ソフトバンク<9984>傘下の米携帯会社大手のスプリントが2015年4~6月期(第1四半期)決算を発表し、総契約者数でライバルのTモバイルUSを下回り、米携帯会社大手4社(AT&A、ライゾン・コミュニケーションズ、TモバイルUS、スプリント)で最下位に転落したことがわかったが、その際、ソフトバンクがスプリントを手放しアメリカの携帯電話業界から撤退する可能性が取り沙汰されたが、まるでそうした可能性を強く否定するかのように、13日に同社はスプリントの株式を追加取得したとの発表を行った。

 ソフトバンクが取得したのは、スプリントの発行済み普通株式の0.58%にあたる約2287株で、取得額は約108億6000万円となっている。これによりソフトバンクのスプリント株の保有比率は79.99%に高まった。今回のこの株式の追加取得に関してソフトバンクは、「スプリント事業の将来性に対して自信を深めていることから、本追加取得の実施を決定しました」とのコメントを発表している。また併せて、「スプリントの発行済普通株式数の85%以上を所有する意図はありません」とも述べている。

 スプリントの発行済普通株式数の85%以上を所有する意図はないものの、ソフトバンクは今後もスプリント株を買い増していく方針を示している。スプリント株はニューヨーク証券取引所に上場しているが、ソフトバンクの株保有比率が85%以上に高まると上場廃止基準に抵触する可能性があるため、あくまで84.99%以上は比率を高めない考えだ。ただし、今後の買い増し状況によっては取得額が1000億規模になる可能性もある。
 
 最初にも述べた通り、スプリントは15年4~6月期決算において、総契約者数でTモバイルUSに抜かれて米携帯会社大手4社で最下位に転落している。この状況を受けてソフトバンクは今後2年間でスプリントの業績を大幅に改善させる方針を示していた。今回の株式の追加取得もその一環とみられ、ソフトバンクはこうしてスプリントへの出資比率を高めることで、ネットワーク事業などで両社の相乗効果を高めたい考えだ。(編集担当:滝川幸平)