ソフトバンク<9984>傘下の米携帯会社大手のスプリントが、4日に2015年4~6月期(第1四半期)の決算を発表。それによれば6月末の時点の総契約者数は5766万件であり、ライバルのTモバイルUSの総契約者数5890万件を下回り、米携帯会社大手4社で最下位となった。最新の通信網の敷設、割引プランの導入に出遅れたことなどが影響し、約10年間守り続けて来ていた3位の座をライバルのTモバイルUSに明け渡すこととなった。
15年4~6月期の売上高は、前年同期比9%ダウンの80億2700万ドル。純損益は、前年同期の2300万ドルの黒字から一転して、2000万ドルの赤字。契約数は67万5000件の純増。そうして契約数は増加したものの、総契約者数は5766万件であり、TモバイルUSの5890万件には及ばなかった。
3月末の時点でのスプリントとTモバイルUSの総契約者数の差は30万件であり、スプリントの総契約者数を3月末と今回の6月末とで比べると、約52万件増加している。このように大きく総契約者数を伸ばしたスプリントであったが、その一方でTモバイルUSも同期間に総契約者数を約210万件増やしており、その差が今回の結果につながった。TモバイルUSはここのところ、積極的な値引き攻勢や通信網の強化などにより顧客から高い評価を得ていた。
なお、米携帯会社大手4社の上位2位であるAT&Aとライゾン・コミュニケーションズの総契約者数は1億円を超えており、今回3位となったTモバイルUSと4位に転落したスプリントに大きく差を開けている。ソフトバンクはかつて、スプリントを通じてTモバイルUSを買収し、上位2位のAT&Aとライゾン・コミュニケーションズに迫ろうとしたが、米規制当局が競争上の観点から買収に難色を示したため、14年に買収を断念した経緯がある。
そして傘下のスプリントが4位に転落したことにより、ソフトバンクがスプリントを手放し、アメリカの携帯電話業界から撤退する可能性が取り沙汰されたが、現在のところソフトバンクはそうした可能性を否定している。(編集担当:滝川幸平)