古都のもう一つの意外な顔? 20年後の未来をつくる、京の最先端技術

2015年08月22日 20:21

 1200余年の歴史を持つ、古き都、京都。多くの寺社仏閣が立ち並び、町家に挟まれた裏路地を通れば、華やかな舞妓さんに出会える、日本随一の観光都市。京都市が6月17日に発表した2014年度の市内観光客数は5564万人。2年連続で過去最多を更新している。しかし、世界中から観光客が訪れるこの町には、観光以外にも世界からの注目を集めるもう一つの顔がある。それは日本を代表する、最先端の電気・電子系企業が集まる都市という側面だ。

 セラミックコンデンサで世界トップシェアを誇る村田製作所<6981>や、ハードディスクの駆動用モーターでは80%という圧倒的な世界シェアを握る日本電産<6594>、そしてSiCパワーデバイスや電源ICなどの省エネ技術で、世界でシェアを伸ばしているローム<6963>、他にも、車載向けリチウムイオン電池のGSユアサ<6674>、ヘルスケア市場だけでなく、液晶TVのバックライトなどでも躍進するオムロン<6645>、世界一の電子ゲームメーカー任天堂<7974>など、京都に本社を置く、世界的に名の知れた企業は枚挙にいとまがない。

 そんな歴史と未来技術が交錯する町で今、ロボットがトレンドになっている。京都とロボット。アンバランスな組み合わせのように思う人も多いかもしれないが、先に挙げた企業の業務や業績を見ると、京都ほどロボット開発に適した場所もないようにすら思えてくる。例えば、ロームは省エネルギー性や耐圧性・耐久性に優れた微細な電源部品の製造で世界でもトップクラスの実績を持っている。産業ロボットだけでなく、今後、人々の日常生活に深く関わってくる「人型」のロボットが期待される中、小型で省電力、耐久性の高い部品は必須となるだろう。また、「人型」ロボットの需要が高まれば、関節の駆動などで大量のモーターが必要になる。これについては日本電産が得意とする分野で、同社ではすでに、来るべきロボット時代に向けて今後の注力分野に位置づけて開発を開始しているという。村田製作所も、以前からマスコット的に展開していた「ムラタセイサク君」などで培ったセンシング技術が今後、同社の強みとなるのは間違いなさそうだ。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、2015年現在で1兆6千億円を見込まれているロボット関連市場は、20年後の35年には9兆7千億円規模にまで膨らむことが推測されている。産業ロボットもさらに拡大するが、やはりここでも期待されているのは、「人型」ロボットだ。今後の日本社会の大きな問題となる少子高齢化を背景に介護や清掃などの分野で急速に普及することが見込まれている。

 祇園花街の路地裏を最新の人型ロボットと舞妓さんがすれ違う未来が、もうすぐそこまで来ているのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)