自動車税を最大75%割り引く「グリーン化特例」、1年間の延長決定か?

2015年08月22日 19:09

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2013年の東京モーターショーで発表されたトヨタのスモールモビリティ「i-Road」も発売されれば、「エコカー減税」と「グリーン化特例」の対象車?

 国は燃費が良く、排気ガス排出規制値が優れる自動車の保有税(クルマを所有することに対して毎年課税する、いわゆる自動車税)を軽減する制度を2016年度まで延長することを決定したようだ。これはクルマを買ったユーザーが、翌年度に支払う自動車税(保有税)を最大75%割り引く「グリーン化特例」と呼ばれる制度。

 現行制度は2015年度末(2016年3月末)までに購入するクルマが対象だった。が、登録車と軽自動車を合わせた国内の新車販売は2015年に入ってから7カ月連続で前年割れしている。そのため自動車業界は現行制度のままで延長するよう求めていた。「グリーン化特例」を打ち切ると自動車販売がさらに落ち込んで景気を冷やしかねないとの判断から1年間の延長が決定した。

 なお、「グリーン化特例」と呼ぶ制度は、一般に言われている「エコカー減税」とは異なる。自動車の減税措置においては自動車取得税と自動車重量税の減税措置であるエコカー減税と自動車税と軽自動車税の減税措置であるグリーン化税制がある。この「グリーン化特例」延長処置は自動車業界の要望を受け、所管の総務省が延長方針を固めた。2016年度の税制改正を決める今年末の与党税制調査会で正式に決まる予定だ。

 現在、登録車(5ナンバー小型車、3ナンバー普通車)の持ち主は、その排気量ごとに1台あたりの保有税として2万9500~11万1000円/年の「自動車税」を支払う義務を負う。軽自動車のユーザーは一律1万0800円/年の「軽自動車税」を支払っている。このうち燃費の良い車種は「グリーン化特例」が適用され、購入翌年度の税金支払いに限って割引になるという制度。一方で一般的に喧伝されている「エコカー減税」は、自動車購入時にかかる取得税と重量税を減税する制度だ。エコカー減税制度も昨年改定されて、4月から適用方法が変更されている

 登録車では電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)のような平成32年排ガス規制値を大きくクリアする環境負荷の低い車種が75%減税、燃費の良いハイブリッド車(HV)やガソリン車などは50%減税になる。軽自動車では燃費性能に応じて減税率が75%、50%、25%と3段階に分けられている。この「グリーン化特例」の適用台数は普通車と軽自動車の合計で2015年度、約400万台に達する見込み。減税規模は普通車が約300億円、軽は約50億円と見込まれている。

 総務省は1年間だけの延長を決めたが、減税の適用基準を厳しくして対象車種を絞りたい考えだが、業界では一律継続を求めている。しかし、年間350億円の税収減を補填する方策が現状では示されていない。(編集担当:吉田恒)