遥か昔から、断食はよく知られた言葉だ。しかし、最近は断食の英訳である、「ファスティング」という言葉も、よく見かけるようになった。この二つの使われ方の違いをご存じだろうか。明確な定義はないが、一般的には、断食は、全く栄養素を摂らずに、水だけで過ごすことを指している。
それに対してファスティングは、消化器官を休ませるということを目的として、栄養価が高く消化のよい食べ物を必要に応じて摂ることを意味しているようである。確かに、断食にはお寺での修行などの宗教的儀式を思い浮かべるし、非常にストイックな行為だというイメージがある。ファスティングは、女性誌などもよく取り上げられていることから、ソフトな印象だ。
こんな断食・ファスティングについてクロス・マーケティングが調査を行った。首都圏に住む20~69歳の男女500人を対象に今年5月に実施された。それによると20~60代の断食、もしくはファスティング経験者は13.2%、つまり8人に1人と、大多数の人は未経験であることがわかった。また、未経験者のうち、断食・ファスティングに興味のある人は19.6%となった。
また断食・ファスティングを行った感想としては、「期待した効果が全て得られた」が6.1%、「期待した効果がほぼ得られた」が34.8%と、40.9%の人が効果を実感しているという結果が出ている。こういった数字から、断食・ファスティングが新たなダイエットとして定着する可能性も高いといえるかもしれない。
しかし、断食・ファスティングを行う場合は、それなりの注意も必要となってくる。なんといっても、通常の食事の量を極端にコントロールしてしまうわけだがら、当然といえば当然のことである。主な注意点としては、断食・ファスティング中は身体機能が60%から70%も低下するともいわれているので、運動をすることは避けるべきである。どうしても体を動かしたい場合は、ウォーキング程度のごく軽いものにするべきだろう。また断食という言葉を読めばわかるのだが、断つのは食べ物だけで、水分は摂取する必要があるのだ。そうでなければ、脱水症状のリスクが高まり、最悪の場合、死亡することもありえる。
このような事を考えると、ダイエットとして軽い気持ちで行うのは非常に危険であることがよくわかるはずだ。だから、行う際は、慎重に情報を集め、医師などの専門家に相談することを勧めたい。(編集担当:久保田雄城)