「ロコモティブシンドローム」は日本整形外科学会が提唱した概念で、75歳以上の高齢者での寝たきり、介護の主な原因は、運動器疾患が21.5%を占めること、また主な運動器疾患でである変形性関節症と、骨粗鬆症推計患者数は4700万人にも上ることから、「運動器の障害により要介護になるリスクの高い状態」を「ロコモティブシンドローム」と定義している。
ロコモティブシンドロームの予防策の一つが「歩くこと」である。株式会社ワコールは、65歳以上の女性516名を対象に健康寿命に関する実態調査を行った。
「ロコモティブシンドロール」について、「知らない(40.1%)」がもっとも多く、次いで、「内容は知らないが、名前だけは知っている(39.0%)」「内容まで知っている(20.9%)」となった。
日頃から意識して「歩くこと」を心がけていると答えた人は79.5%。理由を尋ねたところ、「健康のため(92.2%)」がもっとも多く、次いで「脚の筋力を鍛えるため (76.3%)」、「体力をつけるため(66.6%)」「気分転換やストレス解消のため(40.2%)」「若さを保つため(26.1%)」「ダイエットのため(17.8%)」となった。その実践としては、「出来る限り、車に乗らないで歩く(74歳)」「5階に住んでいるが、エレベーターを使わない(66 歳)」「2駅多く歩く(66歳)」という声も聞かれた。
「意識的に歩いている」と回答した人に、頻度を尋ねたところ、「毎日歩いている(37.6%)」含め、週に3日以上歩いている人は8割以上となった。年齢別にみると、「75歳以上」では「毎日歩いている」と回答した人が2人に1人となっており、特に75歳を超えたあたりから歩く頻度が高くなることが分かりました。
「意識的に歩いている」と回答した人に、1日あたりの歩く時間を尋ねたところ、「30分~1時 間未満」が46.8%ともっとも多く、全体の75.6%は1時間未満であることが分かった。厚労省が国民の健康長寿のために提言した「健康日本21」によれば、65歳以上の女性高齢者の場合、1日当たりの目標歩数を 6,000歩となっており、時間数から換算すると到達していないことになる。
週に数回スポーツクラブで特別な運動をするよりも、毎日「歩くこと」の積み重ねがロコモティブシンドロームを予防するとは広く知られている。日ごろから歩く習慣を身に着けておきたいものである。(編集担当:堺不二子)