6月、東海道新幹線の車両内で男が焼身自殺をはかり、女性が1人死亡した事件はまだ記憶に新しいことかと思う。この事件を受けてJR東日本<9020>とJR西日本<9021>は9日、来年の春より防犯カメラによる常時撮影と録画を、東北、秋田、山形、上越、北陸の各新幹線の車両で順次開始するとの発表を行った。常時撮影と録画が行われるのは、JR東日本の新幹線全1403両のうち838両で、約3年かけて実施する。そしてJR西日本も北陸新幹線W7系の全132両で録画を行う。2020年に開催される東京オリンピックも見据えて、こうした常時撮影と録画により犯罪の抑止効果をはかるとともに、非常事態に備えたい考えだ。
客室車両の両端のドア上付近から撮影され、撮影された映像は車内で保存される。ただし保存期間などの詳細は明らかにされておらず、プライバシーを懸念する声も挙がっているが、J東日本はそうした声に対し、録画映像は限られた社員しか見られないなど、厳正に取り扱うとし、また業務上、公益上の必要性がなければ閲覧できないルーツを設けるとしている。
カメラによる常時撮影と録画は、東北、秋田、山形、上越、北陸各新幹線の半数以上の車両で、来年春から順次開始される。また東海道、山陽新幹線でも同様にカメラによる常時撮影と録画が行われることが決定している。東海道、山陽新幹線のカメラは18年度までに順次導入される予定。そのほか、JR九州も九州新幹線への導入を検討している。そしてJR北海道は14年3月に開業予定の北海道新幹線に使用するH5系車両に、JR東日本と同様のシステムを導入する予定。
犯罪の抑止には防犯カメラの設置が効果的と言われており、事実、商業施設や公共施設など、街のいたるところに防犯カメラが設置されている。そしてとうとう、新幹線内にも防犯カメラが設置されることとなった。これが安全のための取り組みであると理解しつつも、やはり「設置せざるを得ない世の中の状況」に違和感を覚えずにはいられない。(編集担当:滝川幸平)