労働者派遣法改正案が11日、衆院本会議で、自民、公明などの賛成多数で可決、成立した。周知期間含め、9月30日施行という異例の法案で、安倍政権にとっては、日本経済団体連合会など経済界からの強い要望を受けた法案のひとつ。労働界から猛反対の法案でもあった。
今回の改正で派遣期間の制限(現行は最長3年)が撤廃される。労働界は「最悪の法案」と厳しく廃案を訴えてきた。
本会議で反対討論した民主党の山井和則議員は「若者が正社員になりにくくなり、一生、派遣の若者が増える」と訴えた。
山井議員は「10年間、製造業派遣で働く30代の男性は『結婚どころか恋愛すらできない。俺の人生を返して欲しい』と言っていた。正社員などと比べると派遣労働者の結婚率は半分だ」と所得格差がこうした問題を招いている現実を取り上げ、労働者派遣法改正が正社員を派遣労働者に置き換えることにつながるなど、すべての労働者に深刻な影響を与えるものになるとした。
また「安倍政権は正社員への道を開くと言いながら正社員を減らす派遣法改悪を行い、賃上げと言いながら賃金の低い派遣を増やす。平和安全法制と言いながら戦争に加担する言行不一致政権だ」と問題視した。(編集担当:森高龍二)