安保法案とともに最重要法案と政府が位置付ける労働者派遣法の改正案(修正案)が9日の参院本会議で採決され、自民、公明、次世代などの賛成多数(賛成143、反対93)で可決。衆院に送付された。今国会で成立の見込み。
法案が成立すれば最長3年となっている派遣期間の制限がなくなる一方で、1人の派遣労働者が同じ企業の同じ部署で働ける期間は3年に制限される。労働界は正社員の派遣社員への置き換えや一生派遣で低所得の暮らしを強いられることになり、企業にとって雇用調整と低賃金で労働力を確保する手立てになるなど企業のための法改正だと非難の声が相次いでいる。
この日の本会議で、日本共産党の小池晃議員は「労働者と国民への背信行為。この法案は派遣労働者保護法でなく、派遣企業保護法であることを露骨に示すもの。これほどあからさまに企業側の要求に応える法案を、わたしはかつて見たことがない」と法案反対討論で政府を厳しく非難した。
また、派遣先企業が派遣期間制限を超え、派遣労働者を使用していた場合に直接雇用の申し込みをしたとみなす「労働契約申し込みみなし制度」の施行を10月1日に控えて、この制度も無効にすることになる改正案だけに、民主党の石橋通宏議員は「前回改正は平成24年で、派遣労働者の保護を前面に打ち出し、当時野党だった自民、公明も賛成し成立したもので、運用が始まったばかり」と指摘。
そのうえで「労働契約申し込みみなし制度は長い準備期間を経て、ようやく10月1日から施行されるところだった。安倍政権は業界団体の規制緩和要望に答え、昨年、法案を国会に出した。2度にわたり廃案になったにも関わらず、政府はほぼ同じ法案を提出し、施行日を9月1日に設定して出してきた。何が何でも『みなし制度の根幹である期間制限違反を無きものにしたい』という決意の現れであり、その意図は施行日を9月30日に修正してきたことでも明らかだ」と強く政府を非難した。(編集担当:森高龍二)