サードウェーブコーヒー、メディアが騒ぐも認知度は3割以下という現実

2015年09月16日 12:21

画・サードウェーブコーヒー、メディアが騒ぐも認知度は3割以下という現実

「厳選したコーヒー豆の使用や鮮度の徹底管理、バリスタがドリップで一杯一杯淹れるという本格的なコーヒー」というのは、実は目新しいことではないと、感じる人が、特に50代以上には多いのではないだろうか。

 近年、コーヒー界における第3の波として、サードウェーブコーヒーがメディアで話題となっている。代表的な店としては、米国・オークランドを本拠地とする「ブルーボトル・コーヒー」だろう。

 同社が海外初店舗として選んだのが日本でその1号店が今年の2月、清澄白河にオープンした。厳選したコーヒー豆の使用や鮮度の徹底管理、バリスタがドリップで一杯一杯淹れるという本格的なコーヒーということで開店当初は行列ができるなど、盛り上がりを見せていた。

 しかしマーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが実施した調査でのサードウェーブコーヒーの認知度はわずか27%にすぎなかった。この調査は、一都三県(東京、神奈川、千葉、埼玉)に在住する20~59歳の男女を対象に、今年6月に実施されたものだ。

 コーヒーを飲む頻度そのものは、1年前と比べて「増えた」が23.8%、「減った」が6.5%となっていて、「増えた」との回答が「減った」より17.3%上回っており、増加傾向が見られる。

 そして、サードウェーブコーヒーの認知率では、「知っている」と「聞いたことがある」が27.1%、「まったく知らない」が72.9%と、サードウェーブコーヒーを知らない人が大多数を占めている。

 利用意向では、「ぜひとも利用してみたいが8.6%、「機会があれば利用してみたい」(39.9%)と、半数近くに利用意向が見られる。その理由としては、「コーヒーがおいしそうだから」が69.6%で最も多く1位となっている。また、性年代別では女性40代で「雰囲気が良さそうだから」(34.0%)、女性20代の「話題性があるから」(32.0%)と、味以外の部分の重視ポイントも目立つ結果となった。
 
 こうした結果を踏まえると、メディアでの話題が先行しており、実際には認知度はまだまだ低いといえるだろう。

 しかし、「厳選したコーヒー豆の使用や鮮度の徹底管理、バリスタがドリップで一杯一杯淹れるという本格的なコーヒー」というのは、実は目新しいことではないと、感じる人が、特に50代以上には多いのではないだろうか。そう、昭和時代には、街の商店街などによくあった喫茶である。サイフォンのコーヒー器具を使って1杯ずつ丁寧にコーヒーを淹れた店である。そういった店のマスターは、「コーヒー好きが高じて独学で勉強して開店」というパターンが多かったように思う。それがスターバックスやドトールコーヒーに代表されるチェーン店の台頭で、壊滅的な打撃を受けて今やほぼ絶滅してしまったのである。

 実際、「ブルーボトル・コーヒー」の創業者は、店を立ち上げる際に、日本の喫茶店文化に強い影響を受けたとコメントしている。ということは「昭和の喫茶店」が、アメリカでリメイクされて日本に逆輸入という考え方もできるのではないだろうか。ともあれ、美味しいコーヒーが飲める環境があるということは、人生においてのささやかな幸せであることに間違いないだろう。(編集担当:久保田雄城)