ガソリン車のダウンサイズ&ターボ化が止まらない──レクサスRCに2リッターターボ

2015年09月18日 08:18

RC200t

レクサスIS、NXからスポーツクーペのRCに8AR-FTS型2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンを移植。価格はベーシックなRC200tが521.0万円、RC200t“F Sport”が583.0万円、RC200t “version L”が585.0万円となる。写真はRC200t“F Sport”

 ガソリンエンジンのターボ化は、完全に世界の自動車のトレンドになった。自然吸気マルチシリンダーV型エンジンを主力にしてきたあのフェラーリでさえ、V型8気筒をターボ化した。このままで行くと高性能自然吸気ガソリンエンジンは絶滅危惧種となるかもしれない。

 独フォルクスワーゲン(VW)社から始まったガソリンエンジンのダウンサイジング&ターボ化の波は確実に日本にも押し寄せている。ターボ装着は出力&トルクアップだけでなく、燃費にも効くという概念が一般にも確実に浸透してきたようなのだ。

 ダウンサイズ・コンセプトはVWの先代ゴルフ(6代目)後期モデルで初めて発表。それまで2リッター・ガソリンエンジンをメインとし、高性能モデルには3.2リッターV6エンジンをも搭載してきたゴルフが、新開発TSI型1.4リッター・ターボエンジンに換装して話題になった。

 省燃費と運動性能を両立するうえでターボ化は重要な技術で、この技術開発を突き進めると、ディーゼルエンジンのようにすべてのガソリンエンジンがターボ化される可能性もある。気持ちのいいエキゾーストノートを奏で、高回転域までキレイに回るNAエンジンが無くなる日が来るかもしれないのだ。

 トヨタは2015年4月新型「オーリス」を発売。ダウンサイズしたターボエンジンを採用した。しかも、かなり冒険と思えるグレード&価格設定で臨んだ。排気量が最も小さい1.2リッターターボエンジン搭載車の価格が最も高い設定なのである。排気量によるヒエラルキーが崩壊し始めたというわけだ。

 そして、トヨタは高級ブランドのレクサス車でもダウンサイジングを推進する。ISやNXに次いで、高級スポーツクーペRCに2リッター直噴ターボを載せる。8AR-FTS型と呼ぶ2リッター直列4気筒直噴ターボエンジンで、最高出力は245ps(180kW)/5800rpm、最大トルクは35.7kg.m(350Nm)/1650-4400rpmというアウトプットを持ったユニットだ。

 組み合わせるトランスミッションは、8-Speed SPDS(電子制御8速オートマティック)を搭載し、本格的なスポーツドライビングを提供する。また、フロントパフォーマンスダンパーを標準装備し、ハンドリング特性をシャープにすることで高い操縦安定性を確保した。

 RC200t “F SPORT”には、後輪左右の駆動トルクを適切に配分し、高い走破性と優れた操縦安定性を実現するトルセンLSDと、“F SPORT”専用オレンジブレーキキャリパーをオプション設定した。価格は521.0万円(RC200t)から585.0万円(RC200t “version L”)だ。

 世界の自動車用パワーユニットのトレンドは、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド(PHV)を含む電気自動車(EV)、クリーンディーゼル、燃料電池(FCV)、そしてこのダウンサイズターボ。まさに百花繚乱といえる。(編集担当:吉田恒)