実用化に向け進む自動運転車技術 日立が北米で市街地を想定した走行試験を開始

2015年09月29日 08:06

 自動運転車は、「ロボットカー」とも呼ばれ、レーダー、LIDAR、GPS、カメラで周囲の環境を認識して、行き先を指定するだけで自律的に走行する車をいう。日本では国土交通省の支援のもと、各自動車メーカー、電機メーカーなどが開発を進めている。

 2015年3月に発表された国土交通省の「自動運転に関する動向について」によると、実用化に向けた技術のレベルを4つに分けており、2015年現時点は「衝突回避のためのステアリング」の段階であり、2017年には「複数レーンでの自動走行等」となり、2020年代前半にはレベル3である「自動合流等」となり、「完全自動走行」となるレベル4は2020年後半以降とされている。

 今回、日立製作所<6501>の米州地域統括会社であるHitachi America, Ltd.(日立アメリカ)と日立オートモティブシステムズの米州地域統括会社であるHitachi Automotive Systems Americas, Inc.は、コネクテッドカーや自動運転技術の実証を目的とした産学連携を推進する米国ミシガン大学のMobility Transformation Center(MTC)などが2015年7月に開設した自動運転車やコネクテッドカーの走行実験プロジェクト「Mcity(エムシティ)」において、9月より市街地を想定した走行試験を開始したと発表した。

 ミシガン大学アナーバー校のキャンパス内に位置する「Mcity」は、ミシガン大学MTCおよびミシガン州運輸省が、約1,000万ドルの投資により、32エーカー(約13万m2)の土地に建設した自動運転車やコネクテッドカーの走行実験を行うための施設であり、日立アメリカが会員として参画している。同施設では、自動運転車両が市街地走行時などで直面する複雑で様々な状況のシミュレーションが可能となる。例えば、信号機や標識などが設置されているほか、雪や氷などの過酷な路面状況を含め、実際の市街地に近い環境が再現されており、自動運転車両やコネクテッドカーの走行試験が可能となっている。

 日立グループはミシガン大学のMTCに参画し、「Mcity」での走行試験を推進することにより、自動駐車システムをはじめ、車線変更・高度ブレーキ支援システムなどを含めた先進運転支援システムを用いて走行試験を行うことで、自動運転技術の開発を加速させる。また、日立製作所のITや豊富なノウハウの活用も視野に入れ、コネクテッドカーの開発も推進していく方針だ。(編集担当:慶尾六郎)