2015年3月29日に開幕したMotoGP2015年シーズンも残すところあと4戦。いよいよ終盤戦に突入した。2014年シーズンはマルク・マルケス(レプソルホンダ)の異次元とも言える強さに誰もが驚嘆し、圧倒されたため、当然2015年シーズンもその強さが期待されたのだが、今シーズンは開幕戦から大方の予想を裏切る展開となった。
今シーズンのMotoGPを語る上で欠くことができないのがバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)の活躍だ。開幕戦のカタールGPで5年ぶりの開幕戦勝利を手にしたV・ロッシは第3戦アルゼンチンGP、第8戦カタルニアGP、第12戦イギリスGPと4勝をマークし、263Pでチャンピオンシップ争いのトップに立っている。
だが、シーズン14戦を消化した時点で4勝という勝利数は決して多いとは言えない。事実、249Pでポイントランキング2位につけているホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)は今シーズン6勝、184Pで3位のM・マルケスも4勝を上げており、勝利数だけを見ればJ・ロレンソの方が多いのだ。それにも関わらずV・ロッシがポイントランキングトップに立っているのはV・ロッシが安定した走りで表彰台を獲得し続けているからだ。
開幕から14戦、V・ロッシが表彰台を逃したのは第13戦サンマリノGPのみ。今シーズンはリタイアやノーポイントに終わったレースは1戦もなく、順調にポイントを積み重ねている。これが今シーズンのV・ロッシの強さだ。
だが、ライバルたちも黙ってはいない。開幕から第3戦まではいまいち奮わなかったJ・ロレンソも第4戦スペインGPから怒涛の4連勝。V・ロッシと熾烈なチャンピオンシップ争いを繰り広げている。
この絶好調ともいえるモビスターヤマハMotoGPに水を開けられたのが昨シーズン絶好調だったレプソルホンダだ。昨シーズンは他のチームを寄せ付けない強さを見せたエースM・マルケスが今シーズンは奮わないのだ。
M・マルケスは今季4勝を手にしており、これだけを見ればそれほど悪くはない結果に見えるのだが、リタイア・ノーポイントのレースが非常に多い。14戦終了時点で既に4戦がノーポイント。これがモビスターヤマハMotoGPの2人のライダーとの差を大きく広げてしまっている。予選では速さを見せるものの、レースではその本領が発揮できていない。
また、チームメイトのダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)も今シーズンはノーポイントのレースが目立つ。第14戦のアラゴンGPではV・ロッシとの熾烈なバトルに競り勝って2位表彰台を獲得して意地を見せたものの、エンジンがかかるのが些か遅すぎた。
開幕前の予想を大きく裏切ることになったのはこの2チームだけではない。ここ数年ホンダ・ヤマハの両陣営に追いやられていたドゥカティが、今シーズンは好調の兆しがみられるのはいい兆候だ。アンドレア・ドビツィオーゾは開幕戦から3戦連続2位を獲得し、ポイントランキング6位(139P)。アンドレア・イアンノーネもコンスタントに上位を獲得してポイントランキング4位(172P)につけている。
さらに、今シーズン本格復帰参戦したチームスズキエクスターも予選では速さを見せており、今後の活躍の期待が高まっている。
今シーズンはモビスターヤマハMotoGPのV・ロッシとJ・ロレンソが頭一つ抜け出して熾烈なチャンピオンシップ争いを繰り広げている。生きる伝説と謳われ、ここぞという勝負や難コンディションにはめっぽう強いV・ロッシ、ドライコンディションで圧倒的な速さと安定感を見せるJ・ロレンソ、チャンピオンの座を手にするのはこの二人に絞り込まれた。
またコンストラクターポイントランキングでは、ヤマハが322P、ホンダが260P、ドゥカティが210P、スズキが105Pとなっており、ヤマハが抜け出している。
今シーズンも残り4戦。36歳にしてなお伝説を作り続け、ファンを沸かせるV・ロッシとそれに迫るJ・ロレンソの二人のチャンピオンシップ争いがますます激化することは間違いない。そして、M・マルケスをはじめ他のライダーが先を行くモビスターヤマハMotoGPの二人に一矢報いることができるのか、ここにも注目して残りわずかな今シーズンを楽しみたい。(編集担当:熊谷けい)