電機大手、自動車大手が離脱する「CEATEC」に未来はあるか?

2015年10月17日 18:37

CEATEC2015

本年の「CEATEC JAPAN」のテーマとして、「サイバーフィジカルシステム(Cyber Physical System:CPS)、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)エキシビション」として2020年の社会や生活がどのように変わるのかを掲げた

 「CEATEC(シーテック)」は、電子情報技術産業協会(JEITA)、情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)、コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)の3団体で構成されるCEATEC JAPAN実施協議会が主催するIT・エレクトロニクス見本市だ。

 2000年に第1回展示会を開き、以後毎年開催してきた見本市だ。今年も千葉・幕張メッセを会場に、「NEXT?夢を力に、未来への挑戦」とテーマを掲げ、531の社と団体(海外は19の国と地域から151の社と団体)が出展。最新の技術、製品などが展示した。

 「CEATEC」は、最新デジタル製品を手にすることができる体験型の展示会として長い間人気を博してきた。が、2007年の出展社895社、来場者数約20万人をピークに、いずれも減少傾向となっている。規模の縮小とともに、2013年に日立製作所、2014年にはソニーと、“大物企業”が出展を見合わせ、今年は東芝が出展を取り止めた。

 昨年、「CEATEC2014」の出展社は547社、来場者は約15万人だった。そして今年、来場者は13万3048名(主催者発表)まで落ち込んでいる。

 ただ、ここ数年「CEATEC」の新たな顔として存在感を増していたのが、自動車関連企業。話題性という意味で電機大手の出展縮小を補ってきた。一昨年は日産が自動運転のデモを大々的に行なった。昨年は、トヨタ自動車が超小型電気自動車「i-ROAD」を展示してデモ走行を実施、テレマティクスサービスなどを展示してITとクルマの融合をアピールした。ホンダ、マツダなどもブースを構えた。

 昨年などは、いよいよ「CEATEC」の主役が「家電」から「自動車」に移行するのかと話題になった。しかし、その“新たな主役”であるはずのトヨタが今年、出展を見送った。自動車メーカーではホンダが「燃料電池車の外部給電」を展示して面目を保ったが、ほかはマツダだけ。サプライヤーではDENSOとスタンレーが目立ったくらいだ。

 JEITA会長であり、CEATEC JAPAN実施協議会の会長も務めるシャープ取締役会長水嶋繁光氏は、開催前日の記者会見で「今年で16回目を迎えるCEATEC JAPANは、世界最先端の技術、製品、サービスが一堂に会する総合展示会。国民生活を豊かに変えていくための展示会」と位置付けを説明した。

 が、一部報道関係者から「新技術や新製品が溢れていた全盛期のCEATECと比べて、魅力が薄れているのではないか」と質問を受け、「近年はIT、ビッグデータの利活用で豊かな生活の実現とともに、生産性を高める役割を果たしており、政府の政策とも連動している。そこで、今年は、政府によるサイバーフィジカルシステム(Cyber Physical System:CPS)、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)エキシビションとして2020年の社会や生活がどのように変わるのかといったことを提案するものになる」と答えるにとどめた。

 2000年に第1回目が開催されて以降の約10年間は、テレビやスマートフォンなどの最新家電製品の展示が中心だったが、2010年からはエネルギー産業や自動車産業などの他産業との連携が増えていた。その後も「CEATEC」は新しい家電製品の登場など社会の変化を反映させながら、テーマや展示を変化させてきた。

 総務省総合通信基盤局・電波部移動通信課・課長補佐の高橋文武氏が挨拶にたち、「昨年のCEATECから、わずか1年で世界の潮流が大きく変化。“ビッグデータ”“IoT”“AI”などという言葉が一般化した。日本はIT分野における“課題先進国”だ。CEATECも2020年に向けて大きく変わる」。同時に、「CEATEC JAPANは国内外に技術をアピールする重要なイベント。今回は5G(第5世代移動体通信)に関するセッションが用意され、これを日本から発信していく」とイベントの意義を語ったが、果たして……。

 なお、次回の「CEATEC JAPAN 2016」は、2016年10月5日から10月8日、幕張メッセで開催予定。(編集担当:吉田恒)