消費増税後の反動減が著しかった、昨(2014)年の消費者マインド。一方で、アパレル市場の落ち込みはそれほどでもなかったようだ。矢野経済研究所が公表した14年の「国内アパレル総小売市場規模」は前年比100.9%の9兆3784億円だった。
2014年4月の消費増税前には、コートやジャケットなどの高価格帯を中心に一定の駆け込み需要があった。3月には前年比で大幅なプラスを確保したアパレル各社も多かった。しかし、増税後は状況が一変。14年4月以降は駆け込み需要の反動減や、西日本を中心とした冷夏の影響など、春夏シーズンの動きが鈍る企業が多勢を占めた。
ここ数年、定価での販売を維持しようと、夏のセール時期を分散させる動きが定着しつつあるが、昨夏はセールも低調な企業が多かった。ただ、秋以降は、気温の低下が早かったことで冬物衣料が順調に動いたアパレル各社も多く、都市部では訪日外国人客のインバウンド消費もプラスに働いた。14年の後半にかけては、消費増税の影響を補うほど順調な売上を確保した企業も目立つ。こうした流れで、年間を通じてみれば、国内アパレル市場は横ばいながらも微増を維持したようだ。
品目別にみると、全体の売上の7割を占める「婦人服」が前年比101.4%の約6兆億円、紳士服・洋品市場が同100%の約2兆5000億円、ベビー・子供服・洋品市場が同100.7%の9223億円で、全品目で前年を上回った。
ただ、販売チャネル別では明暗が分かれた。地方の「百貨店」や、イオン、イトーヨーカドーに代表される「総合スーパー(量販店)」は苦戦している。一方、ユニクロやZARA、H&Mなどに代表される「大手SPA(専門店)」や「ネット通販」は前年比数%のプラスを維持した。
今やアパレルの売上は、百貨店が2兆円に対し、ユニクロなど専門店は5兆円に迫る勢い。その他(ネット通販など)も1兆円を超えている。最近は、大手アパレルやセレクトショップが通販事業に注力する動きが目立つ。実店舗と通販のオムニチャネル戦略を積極展開する企業も増え、ネット通販の売上はますます拡大していくだろう。(編集担当:北条かや)