第三者が連帯保証人の代わりとなるのが家賃債務保証サービスである。リーマン・ショック以降に家賃滞納者が続出したほか、高齢者や外国人滞在者、個人世帯の増加などを背景として、同サービスを導入する貸主や賃貸・仲介業者が増えている。
そこで、帝国データバンクでは、企業概要ファイル「COSMOS2」(146 万社収録)の中から、家賃債務保証会社48社を抽出し、2014年度の総収入高、収入規模別、損益状況などについて分析した。
それによると、家賃債務保証サービスを手がける48社の 2014年度総収入高は約675億1000万円となった。2013年度(総収入高約543億8800万円)は 2012年度(同544億6100万円)と比べ 0.1%減の横ばいとなっていたが、2014 年度は反転し前年度比 24.1%増となった。
規模別に見ると、「50億円以上」(4社)は約 18億3700万円となり、総収入高(675億1000 万円)に占める割合は約47.2%となった。次いで、「10億円以上50億円未満」(11社)は約266億6000万円となり、総収入高に占める割合は39.5%となった。
また、2014年度の各社業績を見ると、「増収」となった企業は36社(構成比 75.0%)となった。一方、「減収」となった企業は3社(同6.3%)、「横ばい」となった企業は9社(同18.8%)となり、多くの企業が2013年度の年収入高と比べ、増収傾向にあることが明らかとなった。
そして、損益状況が判明した36社を見ると、2014年度に黒字を計上した「黒字企業」は32社(構成比88.9%)。一方、赤字を計上した「赤字企業」は4社(同11.1%)となった。収入規模別に見ると、「50億円以上」ではすべての企業が「黒字企業」となっている。
2014年度の収入高トップは、クレジットカードでの決済サービス導入が奏功した日本セーフティーの約92億700万円となった。プロバスケットボールチーム「琉球ゴールデンキングス」のメインスポンサーも務める全保連は、約86億 5200万円。増収を果たしたものの、日本セーフティーと順位が入れ替わった。
リーマン・ショック以降、家賃滞納者が増加したことで普及し始めた家賃債務保証サービス。同サービスは、身寄りの無い高齢者や外国人滞在者、障害者世帯にとって有益なサービスであるほか、連帯保証人を親族や知人に依頼することを敬遠する若者世帯にも受け入れられたことで、多くの家賃債務保証サービス業者が増収傾向にある。
一方で、貸主や賃貸・仲介業者が、連帯保証人がいる借主に対しても同サービスの利用を入居の必須条件としているケースもあり、クレームに発展する事例が散見される。今後も、同サービスの市場普及が見込まれるなかで、不動産賃貸・仲介業者においては、業界慣習や業態構造の変化が予想されると同社では、結論している。 (編集担当:慶尾六郎)