セブン&アイ・ホールディングス<3382>の「nanaco(ナナコ)」や、イオン<8267>の「WAON(ワオン)」など、小銭を持たなくても気軽に買い物することができる便利さから、今や多くの電子マネーカードが発行されており、その利用額は年々増加し国内市場は年間4兆円規模だと言われている。電子マネーの利用場所はセブ&アイ・ホールディングスやイオンが展開するスーパーや、駅改札などが挙げられるが、何と言っても少額決済の多いコンビニエンスストアでの利用が圧倒的に多い。事実、電子マネー市場もコンビニエンスストアを軸に顧客を獲得し成長を続けている。
こうした成長著しい電子マネー市場に、いよいよローソン<2651>が参入すると発表した。29日、ローソンはクレジットカード会社JCBと提携し、11月3日よりポイントサービス「Ponta(ポンタ)」機能が付いた電子マネー搭載カードをローソン店頭で無料配布するとの発表を行った。カードの名称は「おさいふPonta」で、コンビニエンスストアだけでなくJCBの国内加盟店900万店で利用することができ、2019年度末までに2000万枚発行するとの目標を掲げている。
小銭を持たなくても買い物ができる利便性から、コンビニエンスストアを中心に電子マネーの普及率はどんどん高まりつつある。現在、コンビニエンスストア業界トップのセブン?イレブンなどで使用することができる「nanaco」や、JR東日本<9020>が発行する乗車券決済中心の電子マネー「Suica(スイカ)」などが多くの顧客を獲得しているが、ローソンの店舗に加えてJCB国内加盟店900万店舗で使用できるという環境は、「nanaco」や「Suica」と比べても利便性において優位であると言える。電子マネーの顧客は一度特定のカードを持つと、他のカードを持たなくなる傾向にあることから、ローソンが一気にセブン?イレブンなどを巻き返す可能性も十分にある。
今後も電子カード市場は伸びるとみられており、各社ともに顧客を獲得するために利便性の向上に努めている。こうした状況にコンビニエンスストア大手のローソンが加わることで、顧客獲得争いはますます激しくなりそうな気配だ。(編集担当:滝川幸平)